米Microsoftが3月末にシステム管理者向けのイベント「Microsoft Management Summit 2007」を開催し,システム管理製品群のロードマップを明らかにした。「Systems Management Server(SMS)」や「Microsoft Operations Manager(MOM)」といった現行の製品ラインナップに慣れている読者は注意してほしい。ブランド名だけでなく,製品の中身も大きく変更されるからだ。

 まずは名前の変更である。MOMは「System Center Operations Manager」に,SMSは「System Center Configuration Manager」に,それぞれ名前が変更される。Microsoftによれば名称変更の目的は,相互に関連するこれらのソリューションを同一製品ファミリとすることによって,顧客がそれらの製品が統合されているとすぐに理解できるようにすることだという。また,SMSの新しい名前であるSystem Center Configuration Managerは,製品の機能をより具体的に表している。すなわち,これは構成管理を行う製品であり,新しい名前にはそれが反映されている。

 続いて,個別の製品に関する変更を見ていこう。MOMの後継であるSystem Center Operations Manager 2007は,分散アプリケーションや単独のアプリケーション,サーバー,クライアントを含むITサービスを監視する。最近の多くのMicrosoftサーバーと同様に,この製品もセキュリティ強化のためにロール・ベースで動作し,自己監視を行う。新機能のOperations Manager管理コンソールでは,見慣れたOutlookライクなデザインが採用されている。また,Microsoftのベスト・プラクティス・データと統合されているので,問題のアラートだけでなく,その修正に関する情報も管理コンソールに表示される。この製品は4月に完成し,その後まもなく顧客向けに出荷される予定である。

 SMSの後継であるSystem Center Configuration Manager 2007の目玉は,すべての管理パックが中核製品に統合されていることと,タスク・ベースになった新しい「Microsoft Management Console(MMC) 3.0」管理インターフェースを採用している点だ。旧製品と同様に,Configuration Manager 2007は,クライアント・ソフトウエアの更新や,クライアントOSのセキュリティ修正などが可能で,クライアントのシステムにおける変更や構成の管理が可能になる。この製品は夏が終わるころに完成する予定である。

 ディスク・ベースのバックアップ・ソリューションであるSystem Center Data Protection Manager 2.0は,適用対象が大幅に拡大される。従来バージョンは,バックアップ対象がファイル・サーバーだけだが,次期バージョンではバックアップ対象がWindows Server 2003とLonghorn Serverベースのファイル・サーバーだけでなく,Windows VistaとWindows XPベースのファイル共有サービスに加えて,Exchange Server 2007とExchange Server 2003,SQL Server 2005とSQL Server 2000,Windows SharePoint Services 3.0とMicrosoft Office SharePoint Server 2007に拡大する。特筆すべきニュースは,Microsoft Virtual Server 2005 R2ベースの仮想サーバーも同じようにバックアップできることだ。このほか,ディスクとテープの両方のストレージ・デバイスとも連携できるようになる。ベータ2は4月に公開予定であり,最終リリースは夏が終わるころに予定されている。

 中堅企業を対象にした新製品「System Center Essentials」は,「Centro」と呼ばれるMedium Business ServerおよびMicrosoft Small Business Server(SBS)への搭載が予定されている。中堅企業では,ITゼネラリストと呼ばれる「ITに関する何でも屋さん」が1人でシステムの面倒を見ていることが多い。System Center Essentialsは,そういったITゼネラリスト向けに,サーバーやクライアント,ハードウエア,ソフトウエア,ITサービスを予防的に管理する統一コンソールを提供する。対象として想定しているのは,最大30台のサーバーと500台のクライアントを有する企業で,簡素なOutlookライクの管理コンソールを備えている。System Center Essentialsは最近リリース候補(RC)という形でリリースされた。完成版は次四半期にリリースされる予定である。

 仮想マシン・ソフトを管理する「System Center Virtual Machine Manager」は,Virtual Server,Virtual PC,SoftGrid,Longhornのターミナル・サービスにおけるプレゼンテーション仮想化機能,Longhorn Server向けにリリースされるWindows Server Virtualization(Hypervisor)機能を含む仮想化製品ファミリを対象にしている。Virtual Machine Managerは,データセンター・ベースの仮想資産を集中管理しようとする組織を支援する仮想化製品であり,PowerShellベースのスクリプト機能を備えたMOM/Configuration Managerタイプのユーザー・インターフェース(UI)から仮想マシン(VM)のプロビジョニングやリソース最適化,P2V(Physical-to-Virtual)変換機能を提供する。この製品も夏が終わるころに完成する予定である。

 サービス・デスクをターゲットとした新製品「System Center Service Desk」(仮称)は,インシデント,変更とプロビジョニング,資産,サービス要求,社内知識ベースを管理するツールである。さまざまな種類のレポートと進捗管理ツールを備え,他のSystem Center製品と統合されている(例えば,Operations Manager 2007で監視しているサービスに基づいて自動的にService Deskでインシデント・レポートを作成し,上申できる)。この製品は4月にパブリック・ベータがリリースされ,2008年前半に完成予定である。