あなたがデータ・センターで働いているなら「エコ・ストレージ」という単語を聞いたことがあるかもしれない。エコ・ストレージとは,環境にやさしいストレージ装置のことで,従来のストレージより省電力,省スペースを実現している。米Gartnerは,2007年のデータ・ストレージのトレンドで最も重要なのがエコ・ストレージだと予測している。

 筆者は,エコ・ストレージの重要性と,企業がエコ・ストレージを検討する必要性を理解するため,ストレージ・ベンダーである米Pillar Data SystemsのRuss Kennedy氏(マーケティング・ストラテジ担当シニア・ディレクタ)とChris Drago氏(ワールドワイドPR担当ディレクタ)に話を聞いた。

 Drago氏とKennedy氏は驚くべき統計を見せてくれた。2005年,Gartnerは,データ・センターへの電力供給にアメリカだけで60億ドルかかったとレポートした。Gartnerはまた,世界中のデータ・センターのおよそ50%は,2008年末までには高密度機器を維持するのに十分な電力と冷却能力が得られなくなるだろう,と予測している。将来に渡って問題なく事業を運営したいと考えるならば,企業はより効率的にストレージを使う必要があると,Kennedy氏とDrago氏は強調する。

 つまり,企業は柔軟なストレージ・プラットフォームを選択して,複数のストレージ・プラットフォームを統合する必要がある,ということだ。「異なる筐体の増設は,いつまでも続かない」とKennedy氏は指摘する。彼らが所属するPillar Data Systemsが主張するように,統合は物理的なスペースの制限に関係し,これはIT専門家が今日直面している最も大きな課題のひとつである。特に機器が密集しているエリアではなおさらだ。今後,ストレージに必要なスペースと,ILM(Information Lifecycle Management,情報ライフサイクル管理)で使用されるストレージ層が使う電力消費が増えると,エコ・ストレージを採用する動きはますます盛り上がることになるだろう。

Kennnedy氏とDrago氏の目標は,エコ・ストレージをできるだけ分かりやすくし,その効率性をユーザーが理解しやすくすることである。Pillar Data Systemsというベンダーとしての目標に言い換えると,フロア・スペースと電力消費を効率化し,アプリケーションのパフォーマンスとデータ容量を最大化できるような製品を作り上げることになる。

 Pillar Data Systemsでは,効率指数(EQ: Efficient Quotient)を使って,自社のストレージ製品の効率性を決定している。EQは「容量(Gバイト)×パフォーマンス(秒ごとのI/O)」を「電力(ワット)×スペース(平方メートル)」で割ったものだ。Pillar Data Systemsがいくつかの競合製品に対してEQを算出したところ,同社の製品のEQは競合製品に比べ2倍であったという。つまり,Pillar Data Systemsの製品は,最も少ない電力とスペースを使いつつも,高いパフォーマンスと容量を実現しているそうだ。

 Pillar製品の比較的高いEQは,複数のアプリケーションとストレージ層を1つのプラットフォームに統合する能力によるところが大きい。加えて同社は,Fibre ChannelやSerial ATA(SATA)など複数のストレージ技術を1つのプラットフォームで運用できる機能を提供できる。いずれ読者の皆さんもエコ・ストレージを検討し,使用中のストレージの効率性についてベンダーと話をするようになるのではないだろうか。