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第3回の今回は,(1)ファイル入出力,(2)エラー処理,(3)コンポーネントの紹介――の三つをテーマに解説していきます。
(1)のファイル入出力は,ほぼすべてのアプリケーションで必要になる実用的な技術といっても過言ではないでしょう。ファイルの読み込み/書き込みのほかに,ファイルの検索やディレクトリの扱いを学んでいきます。(2)のエラー処理も,ファイル入出力やネットワークへのアクセス時には欠かせないテクニックです。また,(3)コンポーネントの紹介では,いくつか初登場のコンポーネントを紹介します。
特に(1)と(2)は本格的なプログラムを作るうえで重要な部分です。ぜひ手を動かしながら,じっくり学んでください。
ファイル閲覧ソフト「ファイルグリッド」
さっそく,サンプル・プログラムに取り組みます。今回作成するのは,あるファイルを読み込んで,その内容を格子状の欄に表示するプログラム「ファイルグリッド」プログラムです。以下のような三つの機能を備えています。
- フォームを読み込んだときにプロジェクトを保存している場所(カレントフォルダ)の内容を表示する
- ファイルを作成する
- ファイル一覧から選択したファイルを読み込んで,格子状の欄(StringGrid)に表示する
「ファイルグリッド」で読み書きできるファイルは,CSV(Comma Separated Values)ファイルとDATファイルの二種類です。CSVファイルは,カンマ区切りテキスト形式とも呼ばれます。その名前の通りに,複数の項目をカンマ(,)で区切って記述するデータ・ファイルです。一方,DATファイルは独自のバイナリ形式です。
新たにファイルを作成することもできます。ただし,CSVファイルもDATファイルも,作成できるファイル名があらかじめ固定されています。ファイルは何度でも作成できますが,作成するたびに上書きになる点に注意してください。
サンプル・プログラム上で作成していないCSVファイルを読み込むとき,表示用に用意した列数以上に項目がある場合は,表示しきれません。また,DATファイルも「ファイルグリッド」独自の形式なので,このプログラムで作成したファイルしか表示できません。
なので,正直,実用的なプログラムからはほど遠いサンプル・プログラムです。でも,ファイルの読み書き,エラー処理などの実用的なテクニックを習得するには十分な機能を備えています。
今回も,まずサンプル・プログラムを作り,動かせるようにしてから,その内容を解説していきます。サンプル作成の手順は,もうおなじみですね。まず画面を作って,そこにコードを書いていきます。では画面の作成から始めましょう。コンポーネントの配置はあとからいくらでも修正できますが,なるべく完成に近い状態を作り上げてからコードを書いたほうが,楽に完成させることができるでしょう。