第2回 相手の話の聴き方
高橋 俊樹 グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント
良いコミュニケーションと悪いコミュニケーション皆さんは仕事をしていく上で,日ごろから社内外問わず,良いコミュニケーションを心がけていると思います。良いコミュニケーションは,相手の話を自分の価値観などで判断せずに正しく聴く,相手の言い分をまず受け止めることからスタートします。それから,自分の話したいことを伝え合います。相手と良いコミュニケーションが取れていると感じる時は,相手の言いたいことがよく分かる,理解できていることが多いはずです。 逆に悪いコミュニケーションでは上記のことができていません(図1)。例えば,双方が相手の話を聴かずに話している場面を想像してみてください。お互いに自分の言いたいことだけを話す,相手が話そうとしているのに遮ったり否定したりする――。これではコミュニケーションがきちんと取れないばかりか,結論に至らないのはもちろん,人間関係まで悪化してしまいます(深夜の討論番組みたいですね。最後は時間切れで参加者全員が言い足りなさそうで,不満そうにしています)。
良いコミュニケーションと悪いコミュニケーションでは,双方がどのように感じているのかを,表1に示しました。実際に筆者が実施したコミュニケーション研修に参加したエンジニア達の感想をまとめたものです。
リスニング(傾聴)モードできくこれまで「聴く」と書いてきましたが,これは,「聞く」あるいは「訊く」とどう違うのでしょうか。以下に説明しましょう。 「聞く」 一般的に「きく」は聞く(Hear)と書き表しますが,これは声や音が耳に入ってくる時に使用します。人の話しだけではなく,周りの騒音や隣室の物音などが耳に入ることも含みます。 「聴く」 これは,身を入れて聞く,意識的に相手の話を聞こうとする際の聞き方です。英語ではListen。傾聴(リスニング)と呼ぶこともあります。特にビジネスの場合はより積極的にリスニングのモードをとることで,相手の言いたいことを正確に汲み取り,理解することが必要です。
「訊く」
普段,私たちは相手の話を聞きながら,「自分が次に話すこと」を考えてしまいがちです。それを防ぐために,よく「頭の中を空っぽにして聴こう」と言われますが,これがなかなか難しいものです。どうしたって,色々と考えてしまいます。 そこで,頭を空にするのではなく,相手に興味を持ち,相手が何を云えようとしているのか,相手の言いたいことは何か,を考えて聴くようにすればよいのです。 そのために必要なのは,「聴く態度」を意識的に取ることです。 なぜなら,「相手の話を聴こう」という「姿勢」がないと,話しが耳に入ってこないからです。また,興味なさそうな態度をとっていると,相手も話す気になりません。 一方,意識的に聴く態度を取ると,興味がなくても相手の話がきちんと耳に入ってくるものです。さらに,意識的に聴いている態度が相手に伝わると,相手はもっと話したくなり,話を聴いてくれるあなたに好意をもち,信頼関係も構築できます。 例えば恋愛では,自分がどれだけ相手に好意を寄せていても,それが相手に伝わっていなければ,一方通行の片思いに終わっています。「聴くこと」も同じです。 あなたの聴きたい思いがどれだけあっても,それが相手に伝わらず,相手が「この人は興味ないんだな」「聴いていないな」と思ってしまうと,コミュニケーションはうまくいきません。つまり,聴いているかいないかは,自分ではなく,相手が判断するものなのです。
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