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ITレポート(動向/解説)

日本のネット業界とWeb 2.0が下り坂って本当?

ネット視聴率測定サイトAlexaの正しい読み方

2007/03/29 ITpro

 「日本の大手サイトのアクセスが伸び悩んでいる」,「Web 2.0サービスの成長が鈍化している」---最近,こんな論調をマスメディアやブログでよく見かけるようになりました。

  • J-CAST ニュース : SNS最大手ミクシィ 成長神話の終焉

  • ラージアイ・イレブン - 大手サイトのページビュー推移比較

  • 九段ではたらく社長のここだけの話 - alexaが伸びていないのは当たり前

  • メディア・パブ - Web2.0が失速?!

  • Dave's Blog: Web2.0の次

     これらのエントリでは,インターネットの視聴率サービスであるAlexa(アレクサ)でのリーチ(Reach)指標が漸減していることを根拠に,パソコンによるネット利用の減退の可能性について警鐘を鳴らしています。

     Alexaは,オンライン書店米Amazon.comの子会社で,世界中のウェブサイトのアクセス数の多寡を調べ,提供しています。インターネットのサイトの「人気度」に関し,無料で公開されている指標が他にあまりないことから,Alexaの統計データをもって特定のネットサービスの浮沈や業界全体のトレンドを評するブログ記事は絶えません。

     しかし,実は,Alexaグラフでのリーチの増減はページビューやビジター数の絶対値の増減とはまったく関係ないのです。

     それはなぜでしょうか?この解説では「Alexaに関する誤解を解く」というテーマで書いてみたいと思います。

    Alexaがアクセス数を測定する方法

     自己紹介が遅くなりました。ITProの読者のみなさま初めまして,サイボウズ・ラボの秋元と申します。わたしは主に海外インターネット事業の調査を業務として行っており,社員ブログにてそのリサーチの成果(の一部)を発信しております。Alexaについては長年のウォッチャーであると自認しております。

     それではまず,Alexaがどのようにしてインターネットの視聴率を調べているのか,その手法を見てみましょう。

     ユーザーが直接サーバーにアクセスするというウェブの性質から,他者のウェブサイトのアクセス数を知ることは簡単ではありません。Alexaは,テレビの視聴率を調査する会社が調査機器を設置して実態を調べるのと類似のモデルでこれを実現しようとしているサービスです。Alexaは,いつどのサイトを見たかを記録する「Alexaツールバー」というアプリケーションを配布し,そこからのデータを集計することで,インターネットのアクセスを推計し,無料で公開しています。

     昨年私のブログの「Alexa ランキング―どれだけ信頼できるか―」というエントリでも述べたことですが,Alexaの公開しているReach(トラフィックの多寡を表す指標)はあくまで「推計」で,その読み方には注意が必要です。

     そもそも,Alexaがデータを集めている収集先,つまりAlexaツールバーをインストールしているユーザーの増加傾向は,国によってまったく異なるのです。ここ数年というもの,Alexaユーザーはネット先進国(中国ぐらいまでを含む)で軒並み減少,新興国で増加し続けているのです。

     ネット先進国では,Alexaを利用するような層にはAlexaツールバーが行き渡ってしまったり,社外に閲覧記録を送ってしまうAlexaツールバーをウィルスとみなして排除する企業が増えたりという理由から,ツールバー利用者の伸びは停滞しています。

     しかし,ネット新興国ではAlexaやそのツールバーの普及自体がつい最近の現象です。そこで,ネット新興国でAlexaツールバーのインストールが進めば進むほど,Alexaツールバーのネット全体のインストールベースに対する日本やアメリカのユーザーの割合が減っていくということになっているのです。

     ここで,よく議論に上るAlexaのリーチ(Reach)指標の話に戻ります。リーチは,「ネットユーザー100万人のうち何人がそのドメインにアクセスするか」という数値で,決して日本の中での絶対的なページビューやアクセス数を表しているわけではないのです。

     インターネットユーザー100万人あたりに占めるアメリカ人や日本人の割合がどんどん減っているとすれば,アメリカや日本だけしか相手にしていないサービスのReachは落ちて当たり前ということになります。

    新興国で激増するAlexaツールバー,ベトナムでは2倍に

     実際の例として,ネット新興国の一つベトナムを見てみましょう。

     Alexaの国別ランキングから,ベトナム語圏でのランキング上位サイトのReachグラフを見てみると,こんな風になります(1) (2) (3)

    alexa-vietnam.png

     ベトナム市場で上位にいるドメインだからグラフが右肩上がりに伸びているのはあたりまえ,という方もいらっしゃるかもしれません。しかし,アメリカや日本のサービスが「減っている」と指摘される2006年の第四半期あたりに注目してください。ベトナムのどの大手サイトも2倍に近い不自然な伸びを見せているのがおわかりになるでしょう。ベトナムの多くのサイトで同様の傾向が見られます。

     2006年の年末にベトナムのネットユーザーの活動が突然2倍近くになったわけではありません。単に,ベトナムでのAlexaツールバーのユーザー数が2倍近くに増えただけと見るのが妥当でしょう。

     いったいどんな宣伝や口コミがあってベトナムでAlexaユーザーが激増したのかはわかりません。しかし,ハンガリー,ルーマニア,ギリシャ,インドネシア,ポーランドなどのグラフを見ても,同様の急激な増加傾向が見られる時期があります。逐一調べたわけではありませんが,他にも同じように国全体の指標が急増しているところはありそうです。

     結論としては,AlexaのReachでは特定の業界・国のネットのトレンドを推測することはできないし,しても意味がない,ということです。データ取得元の構成の変化,つまり,全Alexaユーザー中の日本人参加者の割合の変化量,を含めて補正すれば,あるいは何か意味のあるデータが得られるかもしれません。しかし,Alexaからそのための詳細なデータが公開されているわけではないのです。

     ここ半年から一年ぐらいのAlexaのグラフを見て,「パソコンユーザーのネット離れ」や「新興ネットサービスの行く末」,「Web2.0バブルの崩壊」などを心配されていたネット関係者の方がいらしたら,心配するのはやめてこれまで通りの計画を続けていただいてもいいのでは,と思います。もちろん,「PCでのネット利用が減ってない」「Web2.0はおしまいじゃない」という証拠も私は持っていませんので,Alexa以外からのしかるべきデータをお持ちであればまた話は違いますが。

     Alexaのデータには参考になるものや興味深いものもあります。しかし,今回の例のように,それだけに頼っていいほど正確なわけでも,信頼性があるわけでもないのです。現在無料で手に入るものの中ではましなものとは言えますが,使う場合にはその内部的な仕組みを正しく理解すること,また,サーバー側のアクセス解析のデータとつきあわせるなどの確認をすること,などが必要でしょう。

    筆者紹介:秋元裕樹 サイボウズ・ラボ 研究員
    2005年サイボウズ・ラボに参加,海外ネットサービスのリサーチを担当。社員ブログ秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログにてアルファブロガー2006にも選出。著書に「PHPxWebサービスAPIコネクションズ」など。ウェブサイトマーケティングの技術面に関するコラムなども執筆している。イギリス・アメリカ・ベトナムでの開発経験を持つトラベリング・エンジニア。

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