(イラスト・アニメーション:岸本ムサシ)
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今回の回答者: 大雲 正隆 マイクロソフト Windowsクライアントビジネス開発事業部 技術部 プログラムマネージャ |
ストリーミングとは,サーバーから映像や音声などのデータを受信しながらパソコンで遂次再生する技術です。元々,受信した映像や音楽を保存しないことを前提に作られているので,基本的にパソコンの中にキャッシュを残さないしくみになっています。こうしたことから,これまでストリーミングは著作権を保護しなければならないコンテンツの配信に利用されてきました。「Windows Media Player」(WMP)などの再生ソフトにも受信したコンテンツを保存する機能はありません。
ただ,保存する方法がないわけではありません。例えば,ネットワーク上でパケットをすべてキャプチャしてファイルに変換すれば保存できます。また,ストリーミング映像を保存するソフトはインターネット上で多数公開されており,これらを使っても保存は可能です。このほか,最近のストリーミング・サーバー・ソフトはパソコンにキャッシュを残すか残さないかを設定できるものが主流になっていますので,「ストリーミングだから保存できない」というわけではありません。
そのため現在は,著作権を保護しなければならないコンテンツをストリーミングで配信するときは,DRM(digital rights management)という技術を使います。DRMでは,コンテンツを暗号化して配信します。WMPはDRMに対応しており,各コンテンツの暗号鍵を取得すると「新しいライセンスを取得しました」というメッセージを表示するようになっています。
暗号化したコンテンツは,パソコンに保存したり,コピーを手に入れたりしたとしても,配信元が発行した暗号鍵がないと再生できません。つまり,今のストリーミング映像は,「保存できない」というよりも「保存したファイルをほかのパソコンに移しても再生できない」という方が正しいですね。