人格ある企業

 通常、企業はその定款により主たる業務内容が定義されている。一般的には何らかの製品、サービスを提供し収益を得る構造になっているため、企業サイトは製品やサービスの情報、つまりそれらを紹介したり販売するコンテンツを作成、掲載してお客様とコミュニケーションしている。

 コミュニケーションの基本は相手があって初めて成立する。コミュニケーションの相手がどのような人(法人)なのか、どのような考え方、価値観を持っているのか‥、など相手の情報が分かれば分かるほど、そのコミュニケーションの深さも深くなる。

 これは日常の人間関係においても当たり前のことである。法人と個人(お客様)との関係もそうなると、より深い関係に発展する。よく、私は○○ファンだとか、彼は○×通だ‥、など企業名あるいはブランド名を出して自慢する方々にお会いすることも多いが、まさしくこれは前述のコミュニケーションつまり企業(法人)の人格をイメージ、理解した結果の状態であると言えよう。

 このイメージは各お客様の頭の中のイメージとなって形成される。各人の頭の中のイメージは多少のブレはあるにしても、優れたコミュニケーションであればあるほど、ブレが少なくなりほぼ同一のかなりシャープなイメージとなって存在するようになるのである。

 これがブランドイメージだと思う。ブランドイメージは発信側で意図的に作って送るものではなく、複数のコミュニケーションの結果、各受け手側に形成され存在するものとなる。尚、ブランドに関しては、別の機会に述べる事にしたい。

 それでは、どうすればこのように理解されるようになるのだろうか?

意志を持ち、表現し、伝達する

 法人も個人も、考え方や生き方、ましてや趣味趣向、価値観などは千差万別。その混沌とした中でコミュニケーションの当事者同士は近づいていくのである。それには、やはり考え方や価値観、ビジョンなどを正確に表現し、相手にわかりやすく伝達する努力が必要だろう。

 うそをついたり、だましたりすることは最も卑劣なことで、後々大きなマイナスイメージの負債としてのしかかってくる。企業理念や法人としての人格を理解してもらうためには、それなりのオリジナルコンテンツを工夫して制作し掲載することが分かりやすいと思う。

 もちろん、製品、サービスやその他コミュニケーションを通じてそのなりふりや対応の結果、少しずつ理解されていくことも確かであるが、自分の考えや思いを表現して伝えると更に効果的であることは間違いない。従来の宣伝広告もその手法の一つではあるが、さらにウェブやネットワークを加味すればそのインパクトは無視できない。

 このウェブ上でのコンテンツだが、上記の思いを直接的に文字や言葉にするのではあまりにも芸がない。このコンセプトを適切な形に表現して伝える作業が俗にいうクリエイティブ作業である。うまく伝わるか、お客様側にイメージが形成されるか‥、これらは多分にこの作業にかかってくる。

 企業側はクリエイティブスタッフに対し、明確なコンセプトを伝えなければ、結果として、お客様側にブレないシャープなイメージは形成できない。また、企業側にはコンセプトの継続的な一貫性が求められる。

アウトプット

 このような姿勢と考え方で作業を続けていくわけだが、そのアウトプットはできれば、複数、欲をいえば、頻度は状況にもよるが多い方がその意志は多角的な視点で伝わりやすくなるだろう。

 一定のコンセプトからアウトプットは何種類でも創り出す事ができる。これは、企業側の企画力次第でもあるし、クリエイティブ側の腕の見せ所でもある。双方切磋琢磨していいものを創り出せば良い。このパワーが企業の力でもあり、将来に対するコミュニケーションレベルでの投資なのだと思う。

 確か、1年以上掲載するコンテンツは(制作費によって左右)無形固定資産として計上していたような気がするが、まさしく投資なのである。このようにして一定のコンセプトから作り出された多くのコンテンツに接し、更に、実際の顧客対応やサポート等に接したお客様の頭の中には、ある一定の人格像が焦点を結び始めるのである。

 少年の頃、ある企業のウェブに接して人生観が変わった‥。などということが起こるかどうか分からないが、個(個人)と個(法人)が触れ合って何らかの共感が生まれ、そのおつきあいが生涯続いていくということがひとつでも実現できたらなんといいことかと思うのである。