本田 恵一 アイ・ピー・ビジョン
代表取締役
本田 恵一

今回はふたたび海外のサービスとしてSIP Brokerなどを紹介する。この連載で名前は何度か登場しているが、SIPのピアリング・サービスでインターネット電話サービスを提供するITSP(Internet Telephony Service Provider)同士の連携を推進したり、エンドユーザー向けサービス以外にも事業者向けのサービスを提供したりしている点が特徴だ。

 前回まではどちらかというとエンドユーザー向けサービスを紹介してきたが、今回は少し視点を変えて事業者向けサービスに着目しようと思う。インターネット電話サービスは、ある事業者の会員間だけではなく事業者を越えて縦横無尽につながった方が当然便利である。筆者もそういう考えから「SIP IX」というサイトを立ち上げて運営しているが、同じような構想を持って活動しているのが「SIP Broker」である。

SIP Broker

写真1●豪Voxalotが運営している「SIP Broker」のサイト
写真1●豪Voxalotが運営している「SIP Broker」のサイト
[画像のクリックで拡大表示]
 
SIP Broker写真1)は豪Voxalotが運営している。オーストラリアは意外とVoIP関連のビジネスが盛んで、インターネット電話サービスを提供するITSP(Internet Telephony Service Provider)も多数存在している。そんな中でも彼らのサービスは興味深い。

 主なサービス内容は以下の通り。
・SIPdomain-to-numericPrefix mapping
・PSTN access numbers
・ENUM with automatic PSTN fallback

1.SIPdomain-to-numericPrefix mapping

 これはSIPピアリング・サービスである。事業者ごとに「*xxxx」という形のプリフィックスが付与され、その番号を使うことでお互いをつないでしまおうというものである。つまり、このプリフィックス番号をダイヤルしてから通常の番号をダイヤルすれば、ほかのITSPのユーザーにも電話番号だけで接続できるようになる。登録されているSIPサーバー数はすでに全世界で1000くらいある。そのうち稼働しているのは半分くらい。

写真2●「Add Proxy」のところに自分のSIPサーバーのアドレスを入力する
写真2●「Add Proxy」のところに自分のSIPサーバーのアドレスを入力する
[画像のクリックで拡大表示]
 SIP Brokerに自分のSIPサーバーを登録するのは簡単である。Webサイトのメニューから「NUMBER SEARCH」を選択する。すると、現在登録されているSIPサーバーの一覧が表示され、その上部にある「Add Proxy」のところ(写真2)に自分のSIPサーバーのアドレスを入力するだけでよい。自動的にプリフィックスが割り当てられる。今であれば8200番台あたりの番号がアサインされるはずだ。

 そのほかの「プロバイダ名」「国」「ホームページアドレス」などはこの時点では登録できない。管理画面にログインし、そこで登録する必要がある。その際は、サイト上の「Register」から「Member Registration」画面にアクセスして必要情報を入力し、メンバー登録をしなければならない。このときに入力するSIPアドレスのドメイン部分が自分のSIPサーバーに該当することになる。