米Microsoftは,どうしても欧州連合(EU)の独占禁止法(独禁法)担当委員に満足してもらえないようだ。EUの独禁法当局である欧州委員会(EC)が2月28日(現地時間),2004年の独禁法違反判決に十分対応していないと再びMicrosoftを批判し,制裁金を上乗せする可能性を持ち出した。

 EC広報担当者のJonathan Todd氏は同日,「企業が独禁法違反の是正命令に応じなかったのは,今回が初めてだ。未知の領域に入ったことになる」と述べた。この問題はあまりにも長引いてしまい,経緯の詳細を追いかけることも難しい。簡単にまとめると,以下のようになる。

 ECは3年ほど前の2004年3月,Microsoftに独禁法違反があったと判断し,罰金約6億3000万ドルの支払いと,いくつかの是正措置の履行を命令した。是正措置の1つは,「Windows Server」と相互接続可能なソフトウエアを開発する過程でライセンス取得企業の参考になる文書の作成だった。事実上すべての是正項目について,Microsoftは期限を過ぎてから対応した。特に,一番長く引き延ばした文書の作成について,ECは提出遅れを理由に新たな制裁金を科した。今回同じことが起こったわけだ。

 ECは2月28日,Microsoftに異議声明を送り,「Microsoftから提出された最新版文書の内容がまたもや不完全」と批判した。Microsoftには4週間の対応猶予を与えられ,期間内に履行できなかった場合は日額400万ドルの制裁金加算の可能性があるという。既にMicrosoftは,今回と同じ独禁法違反の和解条件を守らなかったとして,2006年7月に3億7100万ドルの制裁金を科せられている。

 さらにECは,問題の文書を閲覧するのに必要なライセンス料が高すぎると非難している。ECによると,この文書に「大きな革新性などない」ことから,法外に高い価格は正当化できないという。ただし,Microsoftには1つだけ革新的な部分がある。コンプライアンスを非現実的になるまで引き延ばす方法を編み出したのだ。「Microsoftは,独禁法違反判決に従うことを明らかに嫌っている」(Todd氏)