◆今回の注目NEWS◆

◎「新電子自治体推進指針」(案)に対する意見募集(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070216_3.html

【ニュースの概要】全総務省は、「電子自治体推進指針」(2003年8月策定、2006年7月一部改定)以降の地方自治体を取り巻く環境の変化などを踏まえ、「新電子自治体推進指針」(案)を作成した。


◆このNEWSのツボ◆

 総務省が新しい電子自治体推進の指針について、パブリックコメントの募集を開始した。この指針は、2003年8月に策定され、2006年7月一部改定された「電子自治体推進指針」の新バージョンとも言うべきものである。

 これは、中央政府の電子化促進計画が、昨年8月に「電子政府推進計画」として改訂されたのと対応する、自治体版の新しい計画と位置付けられる。

 計画では、「住民視点と費用対効果の視点」に立って、今後の電子化が必要…と位置付けている。一方で、LGWANや住基ネット、公的個人認証基盤、都道府県レベルでの電子申請導入の推進など、一定の進ちょくを評価しながら、市町村レベルでの電子申請化の遅れなどを例示して、「オンライン化は十分でない」としている。

 しかし、このコラムを読んでおられる皆さんの率直な気持ちを言えば「本当??」と言うところではないだろうか。筆者は、あまり表だって政府の政策を批判しては来なかったつもりである。しかし、現状を見て、これまでの延長線上に次の電子自治体の推進計画を描いていくとすれば、それは、あまりに安易ではないだろうか…。

 住基カードの普及状況は2006年8月末時点で108万5336枚にとどまっている。住基ネットの利用が順調に進んでいるとはとても言い難いし、公的個人認証の利用が進んでいるという話もあまり聞いたことがない。また、パスポートの電子申請が停止されたのも記憶に新しいところである。

◎関連コラム:使われる/使われない--電子申請の二極分化が顕著に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060828/246496/

 この現状を客観的に受け止め、何が良くて、何が良くなかったのかを、まさに「住民視点と費用対効果」の観点から検証した上で、改めるべき点は改める…という姿勢で臨まなくては、とても、更に便利な電子自治体の実現は、おぼつかないのではないだろうか? せっかく、新しい「指針」を作成するのである。これ以上「無駄遣い」を拡大するような方向付けをしているような余裕はないはずである。

安延氏写真

安延申(やすのべ・しん)

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後、コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。現在はフューチャーアーキテクト社長/COO、スタンフォード日本センター理事など、政策支援から経営やIT戦略のコンサルティングまで幅広い領域で活動する。