selfupのトピックス-PR-

第4回 問題の構造分析--因果関係図で構造を把握,「なぜなぜ5回」で真因つかむ

2007/04/10
出典:日経ITプロフェッショナル 2005年7月号146ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

問題解決の第3ステップでは,まず「どこ」に問題があるかを特定する。さらに「なぜ」そのような問題が発生するか根本原因を探り出す。そのための有力なツールが因果関係図だ。その作成法を中心に解説する。

土井 哲/インヴィニオ 代表取締役

 前回まで,問題解決の第1ステップ「問題の認識」,第2ステップ「重要問題の特定」について述べてきた。今回は問題解決において最も重要である,第3ステップ「問題の構造分析」に話を進める。

 構造分析とは,問題が発生しているメカニズムを可視化し,問題の本当の原因,すなわち真因を突き止めることである。まずは,構造分析とはどのようなことなのか,システム・インテグレータのSE麻田君は上司の悠木部長に聞いてみた。

「絞り込み」と「深掘り」が大切

麻田:前回の仮説検証作業を通して,顧客のX社の問題が何であるか分かったと思ったのですが,部長はさらに問題の構造を分析すべきだと指摘しました。具体的にはどういうことなのでしょうか。

部長:問題にはたいていそれを引き起こすことになった原因がある。例えば毎朝,遅刻をしてくる人がいるとしよう。朝起きるのが苦手で,目覚まし時計をかけても無意識のうちに止めてしまい,起きられないのかもしれない。あるいは,朝食や着替えに時間をとられすぎて家を出るのが遅くなったり,交通機関が頻繁に遅れるのかもしれない。このように同じ問題に対して,原因はいくつもあり得るし,全く異質の複数の原因が同時に組み合わさっている場合もある。

麻田:原因によって,対処法は異なってくるので,慎重に考えるべきですね。

部長:そうだね。原因の可能性を幅広く考え,本当の原因を見つける「絞り込み」がまず重要になる。

 さらに,原因は階層構造になっているのが普通なので,その点にも注意してほしい。例えば,決まった時刻に起きることができない背景には,毎晩寝るのが遅いという原因があり,さらに寝るのが遅いのは,毎晩仕事のあとに飲み歩いているのが原因だったりする。毎晩飲み歩いてしまうのは,何か悩みがあって気を紛らわしたいせいかもしれない。こうなると,遅刻をやめさせるには,その人の抱える悩みを聞き出して解決してあげることが必要になる。このように問題が階層構造になっているのであれば,原因を深掘りして根本原因を突き止めて対処すべきだ。

 読者のみなさんは,表面的な対策を「コインの裏返し的な打ち手」と呼ぶのを聞いたことがあるだろう。売れないならもっと売るようにがんばりましょう,早く起きることができないなら早く起きましょう,といっても,本当の意味で問題解決にならない。問題を引き起こす根っこをきちんと把握して対処しないと,問題が別の形で現れてくる。

 目覚まし時計を何個も買って確実に起きることができるようにする,という対症療法は,短期的には遅刻を防いでくれるかもしれないが,この人の抱える悩みは解決できない。やがて体調を崩して仕事の能率が下がったり,仕事ができなくなったりするだろう。絞り込みと深掘りで問題発生のメカニズムを明らかにし,本当に対処すべきことが何なのかを特定するのが「構造分析」だ。

因果関係図というツールを利用

 このような絞り込みと深掘りに役立つのが論理思考であり,「因果関係図」というツールである。「図1を見ていただきたい。これは,あるディスカウント・ストアA社の売上が伸びない原因として考えられることを構造化したものだ。小売業を営むA社の売上が下がっている原因として考えられることは2つ。1店舗当たりの売上が下がっているか,店舗数が減っているかである。店舗数を減らしていないのであれば,1店舗当たりの売上減少が原因と考えられる。

図1●因果関係図を作る
図1●因果関係図を作る
ディスカウント・ストアA社の売上が伸びない原因を示した
[画像のクリックで拡大表示]

 ではなぜ1店舗当たりの売上が下がったのか――その原因は2つあり得る。1つ目は来店者のうち実際にお金を使ってくれる購入者の総数が減っていること。2つ目は購入者当たりの購買金額(客単価)が少なくなっていることである。

 第2回で問題の分析の仕方として,集合(MECE(ミーシー))に分ける,因数分解する,関係する属性を列挙する,の3つを挙げた(図2)。A社の問題にもこれを利用すればよい。つまり,ものごとを論理的に分解しながら,原因となり得るものを漏れなく考えて掘り下げていくのだ。

図2●問題の分析の仕方
図2●問題の分析の仕方
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし,ここで注意していただきたいことがある。A社の売上減少の原因として考えられることは2つあった。1店舗当たりの売上が下がっているか,店舗数が減っているかである。店舗数が減っていないのであれば,店舗数はA社の売上減少とは何ら因果関係がない。それなのに因果関係図に書き込むと,誤解のもとになる。筆者は因果関係図を作るときに,いったん頭のなかではできるだけ漏れのないように選択肢を考えるが,関係のないものについては省略するようにしている(図3)。

図3●因果関係図を整理する
図3●因果関係図を整理する
[画像のクリックで拡大表示]

そもそも因果関係とは何か

 ここで因果関係とは何かについても触れておこう。一般的には,「2つの範ちゅうに属する事象または特性があり,片方の性質などの変化に続いて他方が変化する関係」を因果関係という。 因果関係の有無の判定にはいろいろな考えがあるが,重要な要素は以下のとおりである。

(1)関連の整合性(consistency)
関連が反復して観察され,普遍性がある。例えば人,場所,時間などを変えても同じ結果が得られる。

(2)関連の強固性(strength)
原因と結果に相関関係が成立する。

(3)時間的前後関係(temporality)
原因が結果よりも時間的に先行する。

(4)既存知識との整合性 (plausibility)
既知の知見と矛盾しない。

今週のトピックス-PR-

この記事に対するfacebookコメント

nikkeibpITpro

▲ ページトップ

CIO Computerworld

Twitterもチェック

執筆者一覧

イベントINFO -PR-

最新号

注目のセミナー

申込受付中!

誰も教えてくれなかった
システム企画・提案
の進め方

お申し込みは今すぐ!
東京開催:1/27(火)