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揺れ動く携帯電話の販売奨励金(3)
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| 図1 ソフトバンクモバイルは割賦販売により従来型の販売奨励金モデルからの脱却を図る 割賦販売では,月々の通信料金に応じてユーザーへの割引額が変動する。携帯電話をあまり使わないユーザーの場合,割引額の総額はそれほど増えない。新規契約の場合,割賦の返済が発生するのは契約3カ月目からになる。12〜24回の割賦を選べるが,最も一般的な24回払いの例を図に示した。 [画像のクリックで拡大表示] |
前述したように,事実上の端末価格の割引制度「新スーパーボーナス特別割引」では,月額基本料や通話料などを合計した通信費から毎月最大2280円を値引きする。この「通信費から」というのがポイントだ。通信費が2280円に満たない場合は,新スーパーボーナス特別割引での値引き額は通信費と同じになる。例えば,ある月の通信費が1200円だった場合,その月の値引き額は1200円となるのだ。
新スーパーボーナスは,単なる販売奨励金の分割払いと思われがち。しかし実はそうではない。従来の販売奨励金モデルでは,端末の機種と新規か機種変更かといった契約の種類だけで端末価格の値引き額が決まっていた。それに対し新スーパーボーナスでは,ユーザーが毎月支払っている通信費も値引き額を決定する要素に取り込んだ点が新しい。
ソフトバンクモバイルの立場から見れば,月々の通信費が少ないユーザーに対しては,端末の値引き額を抑制して支出を少なくする。これにより,累計損益がマイナスになるユーザーが多発することを防ぐ。逆に月々の通信費が多いユーザーに対しては,端末の値引き額を多めに出してつなぎ止めを図る格好だ。
ユーザーの立場から見てもメリットはある。こうした割賦販売と割引制度の整備により,低料金を望むユーザーに応えられるプランの実現に道を開いたことだ。同社は2007年1月から基本料金980円の「ホワイトプラン」を開始したが,同社の関係者は「割賦販売を取り入れたことで実現できたこと」と明かす。
もっとも,いくつかの課題は残る。月々の通信費が少ないユーザーは,高機能な端末を購入しづらくなる。そのため,安価な低機能の端末を選ぶなどの対策が必要になる。また,24カ月間ユーザーを契約で縛ることが良いかどうかは議論が分かれるところ。仕組みが複雑で,ユーザーが理解しづらいことも難点だ。説明不足が原因で,ユーザーとのトラブルに発展した例もある(関連記事)。
ただし,24カ月間ユーザーを割賦契約で縛ることは,「SIMロック」の解除に向けた一つの解になる可能性もある。SIMロックとは,携帯電話事業者が販売した端末を他事業者で利用できないようにする仕組み。事業者の立場からすると,ユーザーが端末を購入し,すぐに解約してほかの事業者に回線契約だけ乗り換えられると,販売奨励金を回収できないことになる。そのため,SIMロックをかけて事業者の乗り換えを制限している。
ソフトバンクモバイルの孫社長はこうしたSIMロックについて「従来型の販売奨励金モデルが残る限りは解除できないが,割賦販売が10割になればSIMロックを外せるかもしれない」としている。
SIMロックは,携帯電話事業者がユーザーを拘束する手段に過ぎない。しかし割賦販売では「契約」という手段でユーザーを拘束することができる。そのため,従来の販売奨励金モデルよりも,SIMロックを解除した場合の携帯電話事業者のダメージが小さく済むのだ。SIMロック解除のメリットがあるかどうかという問題は依然残ったまま(関連記事)。だが,SIMロックを一切解除できないよりは,解除できる選択肢が選べるようになることはユーザーにとってのメリットにつながる。