写真●FPTソフトウェアのグエン・タン・ナム社長
写真●FPTソフトウェアのグエン・タン・ナム社長

 「ソフトウエアの開発技術者に必要なのは、新しい技術を自ら習得できる能力」--。ベトナム最大手、FPTソフトウェアのグエン・タン・ナム社長(写真)は、こう話す。ナム社長に、ベトナム人技術者の育成方針について聞いた。

新しい技術を習得できる能力が重要と考えるのはなぜか。

 IT業界は技術の進化が早いからだ。次から次へと新しい技術が登場してくる。いま流行の技術をいくら詳しく理解していても、それだけでは不十分だ。

どのように新技術を身に付けさせるのか。

 技術者たちには、「OSと開発言語でそれぞれ一つずつ、合計二つの得意分野を持て」と常に言っている。LinuxとJavaとか、組み合わせはなんでもいい。OSはどれか一つに詳しくなれば、他のOSは勉強すれば理解できる。開発言語もそう。Javaを隅から隅まで知っていれば、他の言語を学ぶとき「Javaではこれに対応するのか」と理解していくことができる。得意分野を持つには、とにかく勉強を重ねるしかない。

ベトナム人技術者はどんな性格の人が多いのか。

 まず長所をアピールさせていただくと、ベトナム人技術者は、新しいことを勉強するのが好きな傾向がある。既存技術にこだわらず、新技術を身に付けるのが比較的早いと思う。外国人からは素朴な人柄に見られ、好かれることが多いのも特長の一つではないか。

 一方、彼らの課題は、一つの問題から様々なことを貪欲に学ぶ姿勢に欠けること。例えばシステム・トラブルが発生したとき、ベトナム人技術者は、顧客にお詫びはするし反省もするが、原因を深く追求する取り組みがまだ足りない。

日本人技術者の実力をどのようにみているか。

 これまでの仕事の経験からすると、日本人技術者はシステム・トラブルが発生した際、問題に対処するだけでなく、どうしてトラブルが発生したのか、なぜ防げなかったのか、再発を防ぐにはどうすればいいのかなどを究明し、レポートにまとめたりする。技術者のレベル・アップのために、こうした取り組みは非常に重要なことだと認識している。ベトナム人技術者にも、このような日本人技術者の姿勢を見習わせたいと考えている。