このところ複数のニュース媒体が,Windowsの次期バージョン「Vienna」(開発コード名。別名「Windows 7」)を取り上げている。しかし,米Microsoftの幹部にViennaの件をぶつけても,「Windows Vista」の後継OSに関する新しい情報は何も得られないのが現状だ。Windows次期バージョンに関して現在分かっている内容をまとめてみよう。

 次期クライアント向けWindowsは現在,MicrosoftのWindows/Windows Live技術担当上級副社長であるSteven Sinofsky氏の率いるチームが開発している。Sinofsky氏はかつて「Microsoft Office」を担当した人物であり,慎重に行動することで知られ,スケジュール通り製品を出荷できる能力は折り紙付きだ。Viennaや将来版Windowsを新たな社内スケジュールに合わせてリリースすると期待されている。

 ただし,誤解しないでほしい。そもそも「Windows Vista」はWindowsの最終版でないし,最終メジャー・リリースですらない。約2年後にリリースする予定のViennaは,Windows Vistaで搭載が見送られた各種機能や,「the Microsoft Office 2007 system」のリボンUIを作ったグループが開発中の新しいシェルを採用するはずだ。ところがViennaのリリースは,Windows Vistaに比べると小規模なアップグレードとなる。Viennaから約2年後に行うWindowsのアップデートが,次のメジャー・アップデートだろう。

注目すべきはむしろ「Windows Vista SP1」

 Viennaには,2007年終盤リリース予定の次期Windows Server「Longhorn Server」(開発コード名)で初めて登場する機能がいくつか搭載されると思う(具体的なものとしては,「Longhorn Hypervisor」の可能性が取り沙汰されている)。それでもViennaは,Windows Vistaの次に提供されるクライアント製品ですらない。Viennaよりも先に,「Windows Vista Service Pack 1(SP1)」(開発コード名は「Fiji」)が出る。Windows Vista SP1はLonghorn Serverと同時期のリリースで,Longhorn Server用カーネルに合わせてカーネルをアップデートする。さらに複数の新機能がWindows Vista SP1で提供される予定だが,これについてMicrosoftは口を閉ざしたままだ(Windows Vista SP1の開発が間違いなく行われているはずなのに,MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は開発の事実を公に否定した)。

 Windows Vista SP1については,憶測に過ぎないが,恐らくまだ誰も流していない情報を書こう。MicrosoftのMedia Centerチームが「Windows Vista版Media Centerを完成させる予定」であると認め,「この種のアップデートは,2007年のホリデー・シーズンに合わせるのが当たり前だろう」と話してくれた。このアップデートとWindows Vista SP1のリリースを合わせて考えると,大きな意味が見えてくる。リリース時期と事実を考慮すれば,彼らが開発しているのはWindows Vista版Media Centerということになる。

 全体をまとめると,どのような意味になるだろう。Windows Vistaはリリースされたばかりだが,当然マニアやニュース系サイトは将来のWindowsに関する情報を渇望している。結局Windows Vistaの開発は,様々な不幸や遅れが重なり5年もかかってしまった。これに対しMicrosoftは,今後Windowsをもっと迅速にリリースすると約束した。もちろん,これはただの計画だ。ネットワークやあちこちでニュースを目にするだろうが,惑わされないようにしよう。ViennaやFiji,そのほかの将来版Windowsに関する新しい情報は,最近全く得られていない。Windowsコミュニティが,次の“大物”に関することで焦っているだけなのだ。