検索サイトやポータルサイトなどが提供するフリーメールを利用するユーザーが増えている。従来,フリーメールには「POPが使えない」「広告が入る」などの使いにくさがあった。しかし,いまではそれらが改善されるとともに,メールボックス容量の拡大やウイルス・チェックなどサービス内容が充実してきている。

 そのため,フリーメールをメインに使う,メインとまではいかなくても使い込むユーザーが増えている。しかし,フリーメールを使ううえで注意すべきポイントがある。一部のフリーメールは,一度割り当てたメール・アドレスをそのユーザーが利用中止したあとにほかのユーザーに割り当てることである。いわゆる再利用を認めているサービスがある。

 ISPが提供する有料のメール・サービスは,ユーザーが退会したらそのメール・アドレスは永久欠番としているところが大半である。永久欠番ならば,同じメール・アドレスをほかのユーザーが使うことがない。

 しかし,フリーメールはそうとは限らない。フリーメールのなかには,メール・アドレスの再利用を認めているサービスがある。ユーザーが退会したら,それまで使っていたメール・アドレスをほかのユーザーが使えるようになる。なかには,ユーザー本人が退会という意思表示や操作をしなくても,一定期間利用しないと自動的に退会となるサービスもある。この場合,それまで使っていたメール・アドレスを取り上げられ,知らないうちにほかのユーザーがそのメール・アドレスを使っているということになる。

IDやパスワードを盗まれる可能性も

 以前,使っていたメール・アドレスをほかの人が使うということは,自分あてのメールが第三者に見られるということである。第三者がメールの内容を見たり,さらに自分になりすましてメールを送ったりという問題が発生する可能性がある。

 もっと大きな問題につながる可能性がある。登録制サイトのIDやパスワードを盗まれるという問題である。登録制サイトの多くは,ユーザーがIDやパスワードを忘れたときに対応するための仕組みを用意している。その仕組みのほとんどが「ユーザーが登録したメール・アドレスあてのメールを受け取れるのは本人である」という前提に基づいている。

 IDやパスワードを忘れた場合のサポート・ページでよく見かけるのは,メール・アドレスを入力すると,そのメール・アドレスにひも付けられたIDやパスワードが送られてくる方式。メール・アドレスを再利用されると,この本人確認は無意味になる。ほかにメール・アドレスだけでは本人確認が不十分と考え,生年月日や「ペットの名前」といったヒントを入力させるサイトもあるが,セキュリティが高いとはいえない。

 もっとも,ほかのユーザーが使っていたメール・アドレスを引き継ぐのは偶然であろう。前のユーザーがだれか,どの登録制サイトを利用していたかなどはわからない。そもそも再利用のメール・アドレスかどうかもわからない。

 しかし,友人から,あるいは登録制サイトからのメールが届いたりすれば,前にほかのだれかが使っていたメール・アドレスということに気づく。そして,悪意とまではいかなくても,いたずら心が芽生えたら・・・。

 フリーメールに限らず,それまで使っていたメール・アドレスの使用をやめる場合,そのメール・アドレスをどのように使っていたのかなどを考える必要がある。といっても,「よく覚えていないよなあ・・・」。