概要  
ARPキャッシュのエントリの表示や,静的エントリの追加および変更をする。キャッシュのエントリを表示する使い方と,エントリを追加・削除する使い方の2種類に大きく分かれる。追加する場合には,あらかじめ内容を記述しておいたファイルを読み込む形で指定することも可能。

 構文  
arp [{-a|--all}|-e] [-v|--verbose] [-n|--numeric] [{-A|-p|--protocol} アドレス・ファミリ] [{-H|--hw-type} メディア・タイプ] [{-i|--device} LANインタフェース] [IPアドレス|ホスト名]

または

arp {-s|--set} [-v|--verbose] [-D|--use-device] [{-H|--hw-type} メディア・タイプ] [{-i|--device} LANインタフェース] {IPアドレス|ホスト名} MACアドレス [netmask ネットマスク] [dev LANインタフェース] [pub] [priv] [temp] [trail] [dontpub] [auto]

または

arp {-f|--file} ファイル名 [-v|--verbose] [-D|--use-device] [{-H|--hw-type} メディア・タイプ] [{-i|--device} LANインタフェース]

または

arp {-d|--delete} [-v|--verbose] [{-i|--device} LANインタフェース] {IPアドレス|ホスト名}

または

arp [-V|--version]


 利用環境  
Red Hat Enterprise Linux ○ (net-tools 1.60にて確認)

 情報を表示させる場合のオプション  

ARPキャッシュの登録や削除をする「-d|-s|-f」といったオプションを最初に指定しない場合は,ARPキャッシュの内容を表示する。,デフォルトでは全てのARPキャッシュの内容を表示する。適切なオプションに続いて,「IPアドレス」,「アドレス・ファミリ」,「LANインタフェース」,「メディア・タイプ」を指定した場合は,条件に該当するARPキャッシュの内容のみを表示する。

-a|--allARPキャッシュの内容をBSD形式で表示する。
-eARPキャッシュの内容をLinux形式で表示する。特に指定がなかった場合,はこの-eオプションが指定されたものとしてLinux形式で表示する。
-v|--verbose詳細な情報を表示する。
-n|--numeric各ARPエントリのIPアドレス情報を表示する際に,ホスト名の名前解決をしないように指定する。
-A|-p|--protocol アドレス・ファミリ表示対象のアドレス・ファミリを指定する。現状では,サポートされているアドレス・ファミリはIPv4の「inet」のみなので,実際にはこのパラメータは無意味となる。
-H|--hw-type メディア・タイプ表示対象のメディア・タイプを指定する。メディア・タイプのデフォルト値はイーサネットを意味する「ether」で,通常これ以外の値を指定する必要はない。ether以外に指定可能なメディア・タイプとしては「fddi」や「flci」などがある。
-i|--device LANインタフェース表示対象のLANインタフェースを指定する。指定しなかった場合,全てのLANインタフェースに関連するARPエントリを表示する。指定する場合には,「eth0」や「eth1」といったインタフェース名を使う。
IPアドレス|ホスト名表示対象のIPアドレスまたはホスト名を指定する。

 情報を設定・削除する場合のオプション 
-s|--setARPキャッシュに指定したホスト名またはIPアドレスに対応するMACアドレスを設定する。
-f|--file ファイル名ARPに登録する情報を,あらかじめ用意しておいたファイルとして指定する。ファイルには行単位で,以下のような構文で記載する。
MACアドレス IPアドレス [netmask ネットマスク] [dev LANインタフェース] [pub] [priv] [temp] [trail] [dontpub] [auto]
-d|--delete指定したエントリをARPキャッシュから消去する。
-v|--verbose詳細表示モードで実行する。
-H|--hw-type メディア・タイプ対象のメディア・タイプを指定する。メディア・タイプのデフォルト値はイーサネットを意味する「ether」で,通常これ以外の値を指定する必要はない。ether以外に指定可能なメディア・タイプとしては「fddi」や「flci」などがある。
-i|--device LANインタフェース対象のLANインタフェースを指定する。
IPアドレス|ホスト名ARPエントリに追加または削除するIPアドレスあるいは(名前解決可能な)ホスト名を指定する。
MACアドレス追加または削除対象のMACアドレスを指定する。MACアドレスは「XX:XX:XX:XX:XX:XX」形式で指定する。
netmask ネットマスクサブネット全体に対するARPエントリを指定する際に,ネットマスクを指定する。ただし,Linuxカーネル2.2.0以降ではサポートしていない。
dev LANインタフェース対象のLANインタフェースを指定する。
pubプロキシARP用のエントリ(ATF_PUBLフラグが設定される)を指定する。LANインタフェースが明示的に指定されている必要がある。
privプロキシARP用のエントリではない(ATF_PUBLフラグを設定しない)ことを指定する。
temp永続的なARPエントリではないこと(ATF_PERMフラグを設定しない)を指定する。このオプションを指定しないと,デフォルトでは永続的なARPエントリ(ATF_PERMフラグが設定される)として登録される。
trailトレーラ(ヘッダーとは逆に末尾につける情報)の使用を指定する。
dontpubATF_DONTPUBフラグを設定する。
autoATF_MAGICフラグを設定する。
※ATF_から始まる各フラグの意味についてはarpを参照。

 その他のオプション 
(認識しないオプションを指定)ヘルプ画面を表示する。
-V|--versionarpコマンドのバージョンを表示する。


 使用例1:ARPキャッシュを表示する(クリックで詳細表示)  
arp -a
または
arp -e

 使用例2:ARPキャッシュへの静的エントリを登録する(クリックで詳細表示)  
arp -s IPアドレス MACアドレス [dev LANインタフェース名]