本田 恵一 アイ・ピー・ビジョン
代表取締役
本田 恵一

今回は、国内で提供されているインターネット電話サービスを紹介する。ユーエフネットが提供する「G-LEX」、エニーユーザーの「freep」を例に、日本のインターネット電話サービスの現状を探ってみる。G-LEXでは、オープンソースのIP-PBXソフト「Asterisk」を接続してみた。

 第1回でも述べたように、日本では「IP電話」と「インターネット電話」は明確に区別されている。今回紹介するのは、音声品質が確保され、050などの電話番号を割り当てるのが基本である「IP電話」サービスではなく、インターネットを伝送路として使うだけの「インターネット電話」サービスである。ひと昔前までは電話のような通信事業は一部のキャリアの専売事業であったのだが、昨今のVoIP技術の登場により小さなベンチャー企業でもインターネットを使ったサービス提供が可能になってきている。そんな元気な日本のベンチャー企業を紹介したい。

ユーエフネット「G-LEX」

写真1●G-LEXのWebサイト
写真1●G-LEXのWebサイト
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 船井電機の子会社ユーエフネットが提供するのが「G-LEX」である(写真1)。昨年6月にサービスを開始した。センター側の呼制御サーバーには最近注目されているオープンソース・ソフトウエアの「Asterisk」が採用されている。サービス目的でAsteriskが使用可能なことを実証している好例でもある。

 主なサービス内容は以下の通り。
1.会員間無料通話
2.050外線発着信サービス
3.着信専用代表番号サービス
4.声メール
5.留守録ページ
6.自動着信転送サービス

 まずは、これらのサービスを利用するためには無料の会員登録が必要だ。G-LEXのサイトより登録画面にアクセスし、必要事項を入力する。そうすると、登録したメール・アドレスあてに「G-LEXナンバー」や「パスワード」「SIPサーバアドレス」が送られてくる。これらの情報を好きなSIPソフトフォン、ハードフォンに設定すれば、即日利用可能だ。サイト上には推奨ソフトフォンとして、「SJPhone」と「X-Lite」が紹介されている。海外製ならば、ほかのSIP端末でも大抵のものは接続可能かと思うが、日本製で独自拡張されているものはつながらないかもしれない。

 それでは、X-Liteを使って設定してみよう。起動後にアプリケーション上で右クリックし、「SIP Account Settings」を選択する。「Add」ボタンで新規アカウントの設定画面を表示する(写真2)。いろいろな設定項目があるが、「Account」タブの「Display Name」に任意の名前、「User name」と「Authorization user name」にG-LEX番号、「Password」に付与されたパスワード、「Domain」にsip001.g-lex.netを入力すれば最低限の設定は完了だ。問題なければ、ディスプレイ上に「Ready」と表示される。

写真2●X-Liteの設定画面
写真2●X-Liteの設定画面

 これでG-LEXサービスが利用できるようになっているはずだ。ただし、G-LEXサービスには「G-LEX Lite」と「G-LEX Personal」の2種類のタイプがあり、無料の会員登録をした段階では「G-LEX Lite」になっている。050番号での発着信や自動着信転送などのサービスは「G-LEX Personal」に加入する必要がある。こちらは有料サービスで、1番号につき初期費用1050円、月額525円がかかる。