「Windows Vista Ultimate」。私はこのエディションを使いたい。
「Windows Vista Ultimate」。私はこのエディションを使いたい。
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 1月30日,6年ぶりの新Windows「Windows Vista」の発売が開始された。ニュースなどでも多数報道されたので,手持ちのパソコンをVistaにアップグレードすべきか迷っている方もいるだろう。

 私自身は,ごく最近までコンシューマ向けのパソコン誌に携わっていたので,Vistaについて知らないわけにもいかないと思い,なんとなく自分のパソコンもVistaにアップグレードしないといけないという,一種の義務感のようなものを感じていた。

 しかし,幸か不幸かパソコン誌を離れたので,それほど急ぐ必要性も感じなくなった。そこで一般消費者の目線で,プライベートで利用するパソコンをVistaへのアップグレードすることについて考えてみた。

 まず,私個人としてはViataを比較的高く評価している。Windows SuperFetchにより,よく利用するアプリケーションの起動は速くなるし,新しいGUI「Windows Aero」(Home Basic以外のエディションに搭載)は,多数のアプリケーションを起動していても目的のアプリを見つけやすい。PremiumやUltimateに搭載されているMedia Centerで、簡単にオンラインストリーミングサービスにアクセスできるのも便利だ。また,古いバージョンのドキュメントをバックアップしてくれる「シャドウ コピー」(BusinessやUltimateに搭載)なども心強い。もし,プライベートで使うなら,これらの機能がすべて使える「Ultimate」にしたいと思っている。

 このため,これからパソコンを買う人には,Windows Aeroが使えるHome PremiumかBusinessを搭載したVistaパソコンにしなさいと言うだろう(残念ながらUltimateが載ったパソコンは通販系が中心で,量販店では入手しにくい)。利用したいアプリケーションがまだVistaでは動かないといった理由でもない限り,Windows XPパソコンを薦める理由は感じていない。

1年前のパソコンでもVistaが快適には動かない

 だが,Windows XPパソコンをVistaにアップグレードするかどうか迷っている人に対しては,話は違ってくる。あくまでも一個人の意見として結論を言ってしまうと,多くの場合,Vistaにアップグレードするくらいなら新しいパソコンに買い換えた方がいい。理由は単純で,昨年の春以前に量販店で売られていたパソコンの多くが,Windows Aeroが動作しないか,あるいは快適には動作しないからだ。

 これは、パソコンの購入時期によっても変わってくるが、昨年の春以前のモデルはかなりキビシイと言わざるを得ない(量販店で販売されている大手メーカー製のパソコンの場合)。Vistaへ移行できるのは、ハイスペック機に限れられ、売れ筋モデルではかなり絶望的だ。

 当時の売れ筋モデルのスペックを見る限り,Vistaを意識した設計にはなっていない。致命的なのがグラフィックス機能。グラフィックス機能がCPUのチップセットに統合されたものが多く,明らかに性能よりも低コストが優先されていたものが多かった。グラフィックス性能が低いと、いくらCPUやメモリー容量が動作条件を満たしていても、Vista、特にAeroを快適に動作させることはできないだろう。

 VistaにはHome BasicというAeroのないエディションもあるし、Home PremiumやBusinessでAeroを使わない設定にもできる。だが、Vistaのアップグレード版だけで1万5000~2万8000円もの費用をかけてまで、フルに機能を利用できないVistaにアップグレードする価値があるかは疑問だ。幸いWindows XP Home Editionなどのサポートは2014年4月まで伸びた。しばらくは安心して使い続けられる。

 ちなみに,私が感じているVistaが快適に使える条件はどうかというと,ここ1~2年に登場したグラフィックス専用チップと1GB以上のメモリーが搭載されたパソコンで,できればデュアルコア以上のCPUを搭載しているものだ。CPUがデュアルコアでない場合は,3GHzのPentium 4クラスであれば、それほどストレスを感じないで使えると思う。

 もちろん快適と感じるレベルは人それぞれ。マイクロソフトが提供しているアップグレードに関する情報などを参考にして、最終的にはご自身で判断してほしい。どのエディションにアップグレードできるかを確認できるツール「Windows Vista Upgrade Advisor」も提供されている。

 私の家には家族が使っているパソコンを含めて合計5台のパソコンがある。いずれもWindows XPマシンだが、そのうち4台はスペック的にVistaを動作させるには無理がある。Vistaにアップグレードしてもいいと感じているのは1台だけだ。その1台は、テスト的にVista評価用バージョン(RC1)とWindows XPのどちらも利用できる環境を作っている。春まではこのまま使い続け、その後製品版のVistaにアップグレードするか、1台をVistaパソコンに買い替えるか判断したいと思っている。

 単純にアップグレードしようと思わないのは,自分がよく使っているアプリケーションのうち、いくつかはバージョンアップしないとVistaに対応できないからだ。Vista非対応のソフトをすべてバージョンアップしていては、その費用だけで数万円とばかにならない金額になる。新たにパソコンを買えばバンドルされてくるものもあり、いくつかのソフトはバージョンアップする必要がなくなりソフト費用はある程度抑えられる。トータルコストは新たにパソコンを買った方がかかると思うが,アップグレードするよりも快適に使えるVistaパソコンが手に入る。しばらく悩みは続きそうだ。