積水化学工業が今年1月に、CSR(企業の社会的責任)経営の基盤となる新部署「CSR部」を設立した。従来、環境経営部とCS品質経営部、総務・人事部にそれぞれ在籍していたCSR関連の担当者を一カ所に集めた。およそ50人の専任者を集約し、CSR経営の強化を図る。
同社のCSR経営は、「環境」「CS品質」「人材」という3つの方針からなっている。環境分野では、2010年度に同社で定めている「環境貢献製品」が連結売上高の50%を超すことなどを目標としている。「CS品質」の分野では顧客の声を広く集め、経営に生かす取り組みに挑んでいる。人材分野では「従業員は社会から預っている貴重な財産」という考えに基づいて、社員の研修や定年退職者の再雇用、育児支援などの充実を図っている。
今回の組織改革では従来、それぞれの目標の達成に取り組んでいた3つの部から担当者を集めた格好となる。「今後はシナジーを出していければ」とCSR部CSR企画グループの白鳥和彦グループ長は話す。
同社は、こうしたCSR活動についての情報を積極的に開示している。年次の環境・社会報告書はもちろんだが、ホームページ上の取り組みにも注力している。「エコ対話」サイト(URLはhttp://sekisui.stadiams.jp/)は2005年12月の国内最大級の展示会「エコプロダクツ2005」をきっかけにオープンした。
このサイトでは、まず「王さま」と「じいや」というキャラクターが環境問題についての意見をそれぞれ述べており、サイトを見ている人はどちからを支持し、その理由を自由に投稿できる。参加者のプロフィルは分からないが、小中学生が参加するなど幅広い年齢層に環境について考えるきっかけを与えている。ほかにもCSR担当役員のインタビューが掲載されているページでは、各質問ごとに意見や感想をメール送信できるようになっている。
情報を発信するばかりではなく、収集した情報を確実に経営や商品開発に生かす仕組みも充実している。インターネットやお客様相談室を通じて集められた苦情やクレームは、データーベースの「新はや耳ネット」で全社員が閲覧できる。一定期間を過ぎても問題が解決されない場合、案件に「イエローカード」や「レッドカード」が点灯するという「アラームポイント制度」を2005年度に導入。顧客の声を聞きっぱなしにせず、担当部署に言ったきりにはしないように心がけている。