採用したICタグはボタン型で、袋に入れた状態で一つずつ縫い付けている(写真1)。ICタグの単価は当初は300円したが、現在は発注数量も増えたことから200円程度である。レンタル衣装は、ウエディングドレスの場合で2年で償却する。使い終わったICタグは、データを初期化して再利用する計画である。なお青山本店から始めてすでに1年近くシステムを運用しているが、ICタグの故障は1度もないという。

写真1 採用したICタグ 袋に入れて、ウエディングドレスに縫い付けている。【再掲】

 各店舗に、2台のハンディ型リーダーとパソコンを導入した(写真2)。リーダーは無線LANに対応し、パソコンを経由して本社のサーバーにつないだ(図1)。読み取ったICタグのIDをサーバーに送信すると、レンタル価格や次の予約日といった情報がリーダーに表示される。

写真2 ハンディ型リーダーで読み取っているところ 実際の作業では、ドレスのホックを外さずに外側からICタグを読み取る。

図1 レンタル衣装管理システムの仕組み
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 試着やレンタル、修理、クリーニングの際には、その都度ハンディ型リーダーを操作し、ICタグを読み取ってサーバーに登録する。「パソコンが苦手な従業員でもスムーズに操作できるように、ハンディ型リーダーだけで作業できることにこだわった」(三浦氏)という(写真3)。

写真3 ハンディ型リーダーの操作画面

 作業効率は従来よりも格段に上がった。目視でID番号を確認する必要がなく、リーダーをかざすだけで登録作業が終わるからである。バーコードを採用していたら、バーコードタグを目に見える位置に取り出す余分な手間がかかっていた。とはいえアクセサリ類など単品管理が不要なものは、バーコードを適用している。アクセサリ箱などにバーコードタグを付け、数量の増減を登録する。このためリーダーは、ICタグとバーコードの両方に対応した製品を採用した。

 導入費用は、1店舗当たり約200万円である。費用がかさむのはリーダーだ。ICタグは4000着(うち3000着がウエディングドレス)すべてに付けても、数十万円にしかならない。一方のリーダーは1台約30万円で、1店舗ごとに約60万円かかる。

 本社のサーバーでは、単品ごとの試着ランキングやレンタルランキング、レンタル/修理/クリーニングなどの使用状況、修理の履歴などを調べられる。試着やレンタルのランキングは、今後の製品計画にも生かしている。



本記事は日経RFIDテクノロジ2006年10月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです