NGNは,おもにSIPサーバー,ルーター,伝送装置の3種類の装置によって構成されています(写真1)。ここでは,それら3種類の装置について,順に見ていきましょう。
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NGN向けに強化されたSIPサーバー
SIPサーバーは,汎用のサーバー・マシンの上で動作するソフトウエア製品として実装されています。その一方,SIPサーバーのソフトウエアをハードウエアに搭載し,その全体を単体の製品として販売するケースもあります。こうしたハードウエアには,NGN向けに高い信頼性と高速処理能力を備えたものが提供されます。
SIPサーバー自体は,従来のIP電話サービスにも使われています。しかし,すでに何度か触れましたが,NGNではルーターに帯域保証などの指示を出したり,課金や認証などの情報を外部のサーバーに提供したりするといった独自の機能を備えています。この意味では,SIPサーバーはNGNで最も特徴的な装置と言えるでしょう。
ルーターはソフトの変更で対応
NGNのバックボーンで使われるコア・ルーターは,現在ISPで使われているものと同じ製品が使われるでしょう。
現在のISPのバックボーンでは,世界中の経路情報(フルルート)を扱える高い処理能力を持つコア・ルーターが使われています。NGNの場合も,同じ程度の経路数を扱う必要があるため,同等の処理能力を備えるルーターを使うことになります。
一方,ユーザーのアクセス回線を収容するエッジ・ルーターは,ISPで使われているものと異なります。高度なQoS機能,VLAN機能,アクセス制御機能が求められます。また,それらの機能をSIPサーバーと連携させることも必要です。
ただし,通信事業者の特別仕様というわけではなく,ハードウエア自体は汎用製品として提供されるでしょう。各通信事業者の細かな要求には,ソフトウエアやファームウエアの変更で対応していきます。
NGNに適した新伝送装置が登場
伝送装置自体も,従来のISPや通信事業者のネットワークで使われていたものと基本的には変わらないでしょう。ただし,NGNの通信に適した伝送技術を実装した新しいタイプの伝送装置が製品化され始めています。例えば,IPパケットを効率よく運べる「 RPR」,超高速伝送とデータ伝送パスの管理を容易にする「ROADM」といった技術を採用した製品です。
本格的なNGNには,こうした新しい伝送装置が採用されていくでしょう。
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