NGNでSIPが重要であることは何度も見てきました。ここでNGNでのSIPの役割を整理してみましょう(図11)。
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SIPの基本的な機能としてまず上げられるのは,電話の通話をつないだり切ったりする「呼制御」です。SIPを使って,ユーザー側のIP電話アダプタとSIPサーバーの間で情報をやりとりします。また,その通話を外部のネットワークへつなぐため,他のNGNのSIPサーバーとやりとりします。
このほか,SIPは帯域制御のための情報,認証情報,課金情報など,NGNのサービスに必要なさまざまな情報をやりとりするためにも使われます。とくに,ルーターへの帯域制御の指示にもSIPが使われることは特徴的です。
NGNでは,多くの制御がSIPで実現されますが,それ以外の制御プロトコルも使われています。例えば,認証情報をやりとりするために「Diameter」というプロトコルが使われます。
NGN向けにメッセージを追加
Question 7でも触れましたが,NGNで利用されるSIPはIMSと呼ばれています。IMSはもともと,IP化した携帯電話システムを制御するために作られました。それを固定電話向けに修正したものがNGNに使われています。
SIPで使われるメッセージは,「リクエスト行」,「ヘッダー・フィールド」,「メッセージ・ボディ」という三つの部分からなるテキスト情報で構成されています。実は,このフォーマットはWebアクセス向けのプロトコル(HTTP)とまったく同じものです。
SIPでは,3番目のメッセージ・ボディの部分に「SDP」という言語を使って制御内容を記述します。IMSでは,この記述内容がいろいろと追加されています。例えば,帯域制御を要求するメッセージがあります(図11の左下)。
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