NTTのフィールド・トライアルは従来のサービスとの互換性などを考慮していることもあり,現行の技術をそのまま踏襲している面があります。その一方で,NGNの構築に適した新技術が登場しています。新技術を採用した本格的なNGNがどのような姿になるのか,ベンダーからの情報などを基に探ってみましょう。

三つの要素から構成されるNGN

 NGNのネットワークは,(1)IPパケットを運ぶ伝送装置,(2)IPパケットのルーティングを受け持つルーター,(3)サービス・制御を受け持つSIPサーバー,の三つから成り立っています(図10)。

図10●NGNの全体像と構成要素
図10●NGNの全体像と構成要素
本格的なNGNのネットワーク構成例を示した。これらを構成する伝送技術,IPルーティング技術,サービス技術について,以降で説明していく。 [画像のクリックで拡大表示]

 まず伝送装置で構築された全体像を見ると,「バックボーン」を最上位として,県内や市内をカバーする「メトロ・ネットワーク」,FTTHなどで直接ユーザーを収容する「アクセス・ネットワーク」,ユーザー宅内の「ユーザー・ネットワーク」,という階層構造になっています。メトロ・ネットワークの部分については,たくさんの伝送装置を少ない光ファイバで効率よく収容できるリング状のネットワークを複数組み合わせるようになるでしょう。

 こうした伝送路上に,IPパケットのルーティングを担うルーターが配置されます。ユーザーに近いところにあるサービス・エッジは,認証やアクセス制御,帯域割り当てなどNGNのサービスに密接に結びついた機能を受け持ちます。一方,上位にあるコア・ルーターやエッジ・ルーターは,より多くのトラフィックをさばく役割を担います。

 ルーターの転送機能や,さまざまなサービスにかかわる制御機能を担うのは,NGN内に設置されたサーバー群です。なかでも,中心的な役割を果たすのはSIPサーバーです。SIPサーバーは従来のIP電話でも活躍していますが,NGNでは電話以外のマルチメディア通信やQoS制御など,さまざまな機能にも利用されます。

 以降のQuestionでは,これらの技術について,もう少し詳しく見ていくことにします。

【Answer
伝送装置を階層状に組み合わせ,その上にルーターやサーバーを配置しています。