京都市にある佐川急便の本社
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 佐川急便(京都市)が基幹システムの刷新を急いでいる。まず2006年末までに、宅配便などの荷物の追跡情報を管理する「貨物システム」を稼働させた。同社は2005年8月からの5カ年計画で、「ランニングコスト抑制」と「戦略に合った投資」を目標とした情報システム刷新プロジェクトを進めている。集配を担当するセールスドライバー向けの端末など営業系の投資は一段落しており、それ以外の基幹システムのコスト削減を目指す。

 貨物システムはこのプロジェクトの第1弾。2007年は会計系システムの再構築に着手し、2年後の稼働を目指す。この2つのシステムのランニングコストを半減。2システムのランニングコストは全社総額(年間二百数十億円)の5割程度を占めており、数十億円のコスト削減につながると見ている。

 「コスト面でも処理能力面でも旧システムのままでは限界だった」(IT戦略部の北東卓・部長)。近年の繁忙期には荷物量が1日600万個を超えており、1995年に稼働した旧システムの処理能力は限界に達しつつあった。新貨物システムは、トランザクション量で国内最大級のシステムになる。1日最大1000万個の貨物取り扱い個数と、これにかかわる1億件以上の貨物データを格納可能。旧システムでは1秒当たり23件の問い合わせしか処理できなかったが、新システムでは倍近い1秒当たり41件を処理できる。

 一般的にはこの規模のシステムにはメインフレームを使う場合が多いが、佐川はオープン系(インテルアーキテクチャー64ビットのハードウエアが中心)のサーバー100台を組み合わせて、分散・並列処理を行うのが特徴である。システム構築は、佐川のシステム子会社である佐川コンピューター・システム(京都市)とフューチャーアーキテクトが担当。フューチャーのデータ連携技術「RtFA(Real time Framework Architecture)」を採用した。

 貨物システムでは、佐川急便が荷物を受け取ってから届けるまでに入力する状況情報を管理し、顧客からの電話やインターネットでの配達状況問い合わせに対応している。今回の刷新で、コールセンターや営業店で使う端末画面の改良も実施。顧客とのやり取りの履歴と配達状況をひも付けて参照したり、送料の振り込み状況など関連情報も同じ画面で引き出せるようにしたりして、顧客からの問い合わせに対応しやすくした。