NGNの第一の目的は,電話サービスをきちんと提供することです。しかし,NGNの果たす役割はそれだけに留まりません。他にもさまざまな機能を提供します。

 では,NGNはどのような機能を提供するのでしょうか。主なものを図3に挙げてみました。

図3●いろいろな役割を果たすNGN
図3●いろいろな役割を果たすNGN
NGNは,固定の加入電話網以外にも,さまざまなサービスを提供するネットワーク・インフラとして構築される。 [画像のクリックで拡大表示]

映像配信やアクセス回線も提供

 電話以外で最も期待されているサービスが,映像配信です。IPを使ってテレビ映像などを配信するというものです。これ以外にも,さまざまなコンテンツ配信サービスがNGNで提供されるようになるでしょう。

 また,NGNは,ISP向けのアクセス回線サービスも提供します。これは,ISPの契約ユーザーをFTTHなどのブロードバンド回線で収容し,ISPのネットワークまでつなぎ込むというものです。例えば,NTT東日本とNTT西日本は現在,FTTHのユーザーとISPをつなぐために,電話網とは別の「地域IP網」というアクセス回線網を構築・運用しています。いずれは,この地域IP網の役割をNGNに持たせる考えです。

 このほか,企業向けのVPNサービスなどもNGNのサービスとして想定されています。将来的には,携帯電話サービスとの融合もNGNによって実現される予定です。Question 2のところですでに触れたFMCです。

 これらのサービスは,NGNによって初めて実現されるわけではなく,すでに提供されている一般的なサービスです。しかし,従来はサービスごとに個別のネットワーク・インフラを作っていました。NGNの特徴的な点は,これらのサービスを一つのネットワークで提供できることです。

 ただし,こうした動きは通信事業者側の話で,一般ユーザーには直接見えるわけではありません。NGNでインフラが統合されたとしても,ユーザーに提供される部分は変わらないからです。一般ユーザーは,これまでと同じように,電話やインターネットを利用することになるでしょう。

【Answer
電話以外のさまざまなサービスも提供するインフラです。