図 FONで無線LANルーターを相互利用するしくみ
図 FONで無線LANルーターを相互利用するしくみ
[画像のクリックで拡大表示]

 FONとは,ユーザーが互いに無線LANルーターを利用する新しい形のサービスのプロジェクトである。日本にも上陸済みで,FONユーザー(Fonero)として登録し,専用の無線LANルーター「La Fonera」(価格は1980円)を購入すれば,出先で出会ったほかのFONユーザーの無線LANルーターを使ってインターネットにアクセスできるようになる。すでに全世界で20万人を超えるユーザーが参加しているという。

 FONは,無線LANルーターを相互利用できるようにして,使える範囲を広げる。ただし,単純に無線LANルーターのゲスト利用を許してしまうと,所有者のLANにつながるサーバーやパソコンに,ほかのユーザーがアクセスできてしまう。そこでFONでは,ゲストが利用する公開用ネットワークと所有者用のネットワークを論理的に分けている(図)。

 公開用ネットワークと所有者用ネットワークは,同一無線LANチャネルにありながら,同時に別々のESS-IDで動作する。割り当てるIPアドレスも別のサブネットのもの。こうして,ゲストと所有者の利用をはっきり区別する。

 公開用ネットワークについては,無線LAN自体には誰でも接続できる。暗号化されていない。インターネットにアクセスするには,Webブラウザで認証を受ける必要がある。Webブラウザを立ち上げると,スペインにあるFONのサーバーからログイン用のWebページが送られてくる。そこにFONユーザーとして登録しておいたメール・アドレスとパスワードを入力するしくみだ。

 認証を受けても通信できるのはインターネットだけ。例えば無線LANルーターとインターネットの間にLANが挟まっているときでも,LANにつながるパソコンとは通信できない。このようにして無線LANルーター所有者のネットワークのセキュリティを守っている。

 一方,所有者用ネットワークの使い方は,普通の家庭用無線LANルーターとほぼ同じ。アクセスしたときに無線LANルーターが認証する。認証を受ければインターネットにアクセスできる。無線LAN区間の通信は,WPAで暗号化する。