古代ローマ帝国の優れた土木工事能力が完成させた「ローマ帝国水道網」。この仕組みをITサービスで再現したのが、ニイウスグループの「ローマ水道局ビジネス」だ。東京、沖縄の名護と浦添の3カ所に高信頼性データセンターを開設し、金融機関・医療機関などの顧客にASPサービスを提供する。事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を実現する、ニイウスグループのソリューションを見てみよう。

ニイウスグループが推進する
ローマ水道局ビジネス

末貞郁夫氏

 1992年のニュー・インテリジェント・ワークステーション・システムズ(略称:NIWS)設立以来、ニイウスグループはソリューションプロバイダーとして、金融および医療機関向けに、多彩なサービスを提供してきた。1998年にニイウスに社名を変更し、2006年1月には純粋持ち株会社ニイウスコーを設立して、9社によるグループ体制となっている。

 ニイウスグループの提供する各種ITサービスのベースとなっているのが「ローマ水道局ビジネス」()というユニークな名称の仕組みである。「ネットワークはギガb p s 、C P Uはテラフロップス、ストレージはペタバイトへ進化し、今後それぞれのスペックが1000倍規模に向上していきます。さらに、仮想化技術、グリッドコンピューティング、オートノミックコンピューティングなどの新技術が生まれ、すでにお客様はインフラを持つ必要がなくなっています。欲しいときに欲しいだけサービスを手に入れることができる時代になったのです」と、ニイウスコーの末貞郁夫会長は強調する。

図●ニイウスコーの「ローマ水道局ビジネス」
図●ニイウスコーの「ローマ水道局ビジネス」
水道局が1カ所の貯水槽から水を提供するように、ITサービスを必要とする量だけ顧客に提供する

[画像のクリックで拡大表示]

 この名称は、古代ローマ帝国が1カ所の水源から市中に水を分配する、公共インフラを築いた故事によっている。ニイウスグループは、データセンターや先端技術を活用して、業務アプリケーションをオンデマンドで顧客に提供しているのである。

 次に、この「ローマ水道局ビジネス」を支えるインフラとなっている、データセンターを確認しよう。

三分散一元管理
データセンターサービス

 グループでは、東京都内のニイウス東京データセンター、沖縄県の浦添市にニイウス浦添データセンター、名護市にニイウス名護データセンターを開設。日本のビジネスの中心に位置する東京と、国内で最も地震災害が少ないとされる沖縄にデータセンターを分散配置することにより、地理的なリスク分散と同時に、顧客へのきめ細かな業務ニーズへ対応できる。さらに、これら3カ所に分散されたデータセンターを一元管理することで、仮想的に稼働する1つのデータセンターとして利用することもできる。

 「沖縄は、台風は来るものの地震の危険性が最も低い地域です。地震の原因となるプレートも活断層も多くはありません。加えて、情報通信産業振興制度の一環で、無償で提供されるネットワークサービス、税制面の優遇、IT高度人材育成、データセンター集積支援補助金など、多くの優遇措置があります」と、沖縄にデータセンターを開設した理由を末貞会長は説明する。

 3カ所のデータセンターの制御とバックアップを担うニイウス名護データセンターは、金融や医療機関に求められるミッションクリティカルな設備とセキュリティ要件に対応している。

 最新のバイオメトリックス複合認証、監視カメラと防犯センサーによる常時監視を実施。台風の被害を想定して、2つの変電所から2系統(本線/予備線)で受電するなど、地震・津波・水災害(漏水事故)・台風・塩害に向けた災害対策も充実している。FISC(財団法人金融情報システムセンター)の「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準」に準拠していることも大きな特徴となるだろう。

データセンターをベースに
各種ASPサービスを提供

 強固なデータセンターをインフラに、グループが推進する「ローマ水道局ビジネス」。そのサービスの中から、次の4種類のASPサービスを紹介したい。

●金融機関向けASPサービス
 勘定系、連携系、情報系のオンラインサービスをASPで提供する。顧客はオフィスに端末(PC)と帳票印刷用のプリンターなどがあれば、業務を開始できる。「弊社には第3次オンラインを経験したエンジニアが多数います。メインフレームで培ったノウハウをオープン系に移植し、柔軟なシステム間データ連携を実現しています」(末貞会長)。

●BANK/ORFE 国際勘定系
オンラインサービス

 ニイウス名護データセンターと銀行をネットワーク接続して提供するアウトソーシングサービスである。自行の大きさに合わせてシステムを導入できる。「国際勘定系は15年も手つかずに塩漬けとなっている銀行が多くあります。そんな銀行から多くの導入と引き合いをいただいております」(末貞会長)。

●NIWS クレジット・信販
オンラインサービス

 地域密着型の、中小向け共同利用型クレジット・信販オンラインサービスである。ニイウスグループが業務コンサルティングから運用/保守までトータルに提供。コストを抑えながら、ユーザーごとの個別要件にも対応する。

●統合医療情報システム
 統合患者データベースを中心に、電子カルテ、オーダリング、医事会計、部門システムをリアルタイム、シームレスに連携する統合型の医療情報システム。患者サービスの向上、病院経営の健全性向上、地域連携医療の推進を実現する。

 「サービス提供のためのインフラやセキュリティ、運用などは私どもにおまかせください。お客様は人材とお金を本業のサービスにおかけください」と、末貞会長は講演を締めくくった。