|
すでに最新の携帯電話ラインアップの多くには,一般に「フルブラウザ」と呼ばれるパソコン向けWebページ閲覧アプリケーションがプリインストールされている。だがこれらのブラウザは,Webページ全体の情報を表示するまでに時間がかかったり,目的の情報を表示して探すためにスクロールやボタン操作が多く必要になるなど,必ずしも使い勝手はよくない。現状はあくまで緊急時に閲覧可能というレベルでしかなく,イントラネットなどでパソコンを置き換える端末として日常業務で頻繁に利用するのは難しい。
|
意味ブロック単位で閲覧場所をすばやく移動
セマンティックズームを使ってWebページにアクセスすると,まずパソコンで閲覧した画面を縮小したようなイメージの「オーバービュー画面」になる。Webページを縮小表示した画面なので,当然文字などの詳細は潰れてしまって判別できないが,ページの全体像を把握できる。この縮小イメージで目的の情報を探し,詳細表示に切り替えて閲覧するわけだ。セマンティックズームでは単に縮小イメージを作るのではなく,Webページを解析し意味上のまとまり「ブロック」に分割。オーバービュー画面上で「ブロック単位」でポインタを移動できるようにすることで,目的の情報をすばやく選択することができる(図1)。ブロック単位の見出しも自動生成され,オーバービュー画面上でポインタをブロックに合わせると見出しが拡大表示されるため,目的の情報の選択は容易である。見出しだけで情報が不足するなら,詳細表示画面に移ることなくブロック内のテキストを見られる「プレビュー機能」も使える。
|
NECがインターネットの視聴数上位10サイトについて画面中央の情報までたどりつくためのキー操作回数を実測したところ,単純にスクロールしていく必要がある従来のフルブラウザでは平均187クリック必要だったのに対し,「ブロック単位で移動できるセマンティックズームでは,約1/15の12クリックですむ」(システム基盤ソフトウェア開発本部ヒューマンインタフェースセンターマネージャーの平松健司氏)。
|
セマンティックズームは,一覧性の高いオーバービュー画面上で,意味を解析したブロックごとに見出し情報を拡大して表示できる。この技術を適用すると,パソコンで見慣れたWebページの画面レイアウトで直感的に目的の情報に近づき,見出しの拡大表示ですぐに内容を確認できる。パソコン向けWebページを携帯電話でストレスなく読めるようになれば,ビジネスでの用途は広がる。セキュリティ対策の側面からノート・パソコンなどは持ち歩けなくても,一種のシン・クライアントとして携帯電話を業務端末に活用できるわけだ。