イーソル エンベックスでの講義
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 組み込みソフトウェア開発のイーソル(東京・中野)が業務系システムのプログラマーを教育して組み込みソフト技術者に転身させることを目的にした子会社を2006年6月に設立。昨年12月までに14人の卒業生が誕生し、新しい職場で働き始めている。

 子会社の名前はイーソル エンベックス(東京・中野)。まず業務系やネットワーク系のソフト開発技術者が社員として同社に入社する。1~2カ月間、実践的な教育を受け、イーソルに業務を受託している企業で組み込み系の技術者として働くことになる。

 経済産業省が2006年に行った調査では、組み込みソフト技術者の労働市場は、28万7000人の需要に対して9万4000人も不足している。背景には、携帯電話やカーナビ、デジタル家電といった組み込みソフトを搭載した機器の普及と高度化がある。

 組み込みソフト技術者の不足を解消する策として考えられるのが、業務系システム畑からの転職者だ。実際、長年オープン系のシステムに携わるプログラマーの中で、組み込みソフト技術者の転進を希望する者も少なくはないという。

 しかし、組み込み系のソフト開発会社の業界は「組み込み村」と時に呼ばれるように、参入が簡単な世界ではない。徒弟制度に近いOJT(職場内訓練)で技術者を時間をかけて育てる仕組みがあるという。そこで、イーソル エンベックスは転身を後押しすることを目的とした教育プログラムを開発。技術者個人だけではなく企業の研修用にもサービスを展開していくことにしている。

 「ただのプログラマーではなく、コミュニケーション能力を持ち、オープン系の知識を持っている組み込みソフトウェア技術者を輩出していきたい。業務系システムの分野と組み込み業界をつなぐパスポートを配るのが使命」とイーソル エンベックスの大橋憲司社長は語る。