【図1】インターネットチャンネルのスタート画面。ベータ版のため機能に若干制限があるとのこと
【図1】インターネットチャンネルのスタート画面。ベータ版のため機能に若干制限があるとのこと
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【図2】テキストフィールドなど入力が必要な箇所をクリックするとキーボードが起動する
【図2】テキストフィールドなど入力が必要な箇所をクリックするとキーボードが起動する
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【図3】2ボタンを押すと1カラムのレイアウトに切り替わる。文字サイズも大きめになる
【図3】2ボタンを押すと1カラムのレイアウトに切り替わる。文字サイズも大きめになる
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【図4】Strategic Web Designを閲覧すると、ナビゲーションとタイトル周辺の表示程度しか1画面に収まりきらなかった
【図4】Strategic Web Designを閲覧すると、ナビゲーションとタイトル周辺の表示程度しか1画面に収まりきらなかった
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連載とは少し方向性が異なるが、今回はゲームのお話をしたい。 任天堂の新しいゲーム機「wii(ウィー)」はOperaブラウザを搭載し、サイトの閲覧が可能である。wiiなどのネットに接続可能なゲーム機は、今後サイト閲覧手段として広く認知されるかもしれない。既存のコンテンツはwiiでどのように表示されるのか?閲覧時の操作性はどのような状態なのか?興味のあるところだ。早速試してみた。

まずリモコン操作

wiiで画面を操作するにはwiiリモコンという付属の縦長コントローラを使う。腕に落下防止ストラップを巻きつけてテレビリモコン風に画面をポイントする機器だ。例えば画面上の「ボタンを押す」という行為は、画面をポイントしながらカーソルを操り、カーソルがボタンの上に来たときwiiリモコンのボタンを押す。という手順になる。ウェブページの閲覧時は、テレビ画面の外枠に近い部分をポイントするとスクロールの方向を示す操作性が出てくる。画面に収まらないコンテンツはスクロール指示が出ている間にその部分をポイントしたうえで、Bボタン(リモコンの裏に「引き金」のような形で付いている)を押すと、ポイントしている方向にスクロールできる。水鉄砲で遊んでいるような操作感覚が結構楽しい。

ベータ版のブラウザをダウンロード

wiiでサイトを閲覧するためには、ベータ版の「インターネットチャンネル」をwiiのメニュー画面からアクセス可能な「ショップチャンネル」でダウンロードする必要がある。これがwii専用にOperaが開発したウェブブラウザである【図1】。ベータ版は無償だが、正式版は有償提供となる見通しだという。wiiに組み込むと「インターネットチャンネル」からURLを入力してサイトを呼び出せる。文字の入力フィールドをクリックすると画面上に仮想キーボードが出てくる【図2】。任意のキーの上をリモコンでポイントしてクリックする使い方だ。過去に入力したURLは入力途中でも候補を表示してくれるような普段PCブラウザでお世話になっている機能は使えないので少々手間取る。漢字の変換は携帯電話のように入力途中から推察した熟語の候補が表示され、そこから選ぶ方式を採用している。

ズームができる

リモコン前面の(+)と(-)ボタンはそれぞれウェブページのズームインとズームアウトボタンだ。レイアウト全体を210%程度に拡大して閲覧できる。適切に離れた場所から文字を読むには必要な機能だ。そのかわりページ全体を見渡すためには頻繁にスクロールしなければならなくなる。またフォントはクリアで丸みの強いゴシック体が使われており、ズーム時も綺麗で読みやすい。

スタイルの変更ができる

リモコン前面の2ボタンは、ウェブページのスタイルの切り替えに使用する【図3】。通常ウェブページはカラムレイアウトでインターフェースと記事本文の配置場所を分けるものだが、テレビのようにある程度離れて画面を見る機器では記事部分が狭いと文字が読みにくくなる。この機能は全体を1カラムのシンプルなレイアウトに変換し、文字を読みやすくしてくれる。スタイルと文書構造を完全に分けたXHTML+CSSのサイトや、メディアタイプ別にスタイルを用意しているサイトでは比較的読みやすいレイアウトに変換される。テーブルレイアウトしたページも列のカラムが外れた状態に変換される。とはいえ装飾目的でページに貼り付けた画像が細切れになってレイアウト上に表れるので、こちらの場合必要な情報を探すのは少し手間がかかった。

表示領域はXGA相当

ウェブページの表示領域は1024×768ピクセルのXGA相当の比率となる。現在普及しているPCのモニターサイズと同程度だ。PC用のブラウザと違い、画面上部にインターフェースは出ない。そのかわり画面の下に大きなインターフェースが常駐する。1画面で確認できる領域は少々狭い印象だ【図4】。

別ブラウザの起動は不可

インターネットチャンネルはPCのように複雑な操作ができるような作りになっていない。そのためPC向けに搭載した機能がこちらではエラーのように見えることもある。例えばJavaScriptで別ウィンドウを開いてコンテンツを表示する仕組みは、起動した瞬間新しいウィンドウが親ウィンドウの裏に回ってしまいページを確認できなかった。ちなみにJavaScript自体の処理は可能でGoogle MapのようなAjaxコンテンツも問題なく閲覧できた。

Flash表示はばらつきあり

Flashの表示も既存のサイトでいくつか試してみた。動くイメージカットのように単純なFlashムービーは問題なく動く例が多かった。しかし、クライアントごとに処理を分ける仕掛けを入れているサイトでは、wiiというクライアントを(不明なクライアント)と判断するせいか、エラーページに飛ばされることも。一方でページは表示されるものの肝心のFlashがすっぽり抜け落ちてしまうサイトもあった。Flashをページに読み込むためのJavaScriptで利用できないパラメータがあるのだろうか。クリックなどの操作に関しては、表示さえされればFlashもHTML版のページと同じ感覚でこなせた。

wii対応Webページは研究の価値あり

ポインティングデバイスで入力操作する特質上、量の多いフォーム入力が必要なページの操作には今のところ難があるかもしれない。筆者も色々閲覧状態を試す中で、10分に1度程度の休憩を入れないとURLの入力作業で腕が疲れてしまいつらかった。筆者の筋力が人より大きく劣ることも一因であるが、腕を伸ばし続けるのは以外に疲れる行為だろう。しかしあまりポイントする位置を動かさずにクリックで読み進められるコンテンツなら、テレビでちょっと見られるぶんだけ重宝するのではないだろうか。また、PCのマウスに出来る操作はwiiリモコンで可能なわけだから、キーボード操作を伴わないゲームコンテンツならプレイできる。つまり、PCなら「普通」としか思えないシンプルなシューティングゲームでも「あの」wiiリモコンでプレイできる、ということだ。実際にドラッグ&ドロップのみの操作で完結するFlashのパズルゲームに挑戦したが、PCより楽しかった。入力デバイスが変わるとユーザーの気分もがらりと変わるものだと改めて感じられた。wiiブラウザでどこまでのコンテンツが処理できるのかは、今後も深く検証してみる価値があるだろう。