顧客のキーパーソンが気難しい人で、そりが合わずに困っています。全く信用されておらず、私の提案はことごとく却下されます。こんな場合、どうすれば信頼関係を築けるのでしょうか。
(大手インテグレータ勤務、SE/男性・35歳)
A: 情報を集めて相手の懐に飛び込め
質問にある顧客のようなタイプは,肩ひじ張って生きているエリート,あるいはエリートコースを外れた人に多いですね。このような相手に信頼してもらうには,自分がどれだけ優秀かを説明しても逆効果です。自分が突っ張れば,それだけ相手も突っ張ってくるからです。
私は,気難しい顧客に出会うと,いつもある作戦を実行します。名付けて「フトコロ飛び込み作戦」です。どんな人でも,仕事から離れて熱く語れるテーマを持っているもの。そこを突けば,顧客はいつもと違った顔を見せてくれます。相手のガードが下がったその時,懐に飛び込む。それが,この作戦です。
この作戦を実行するには,相手をよく観察すること。本人からだけでなく周囲の人からも,その人の趣味や性格,友人関係,家族関係といった情報を何気なく聞き出すのです。
実例を紹介しましょう。ある時,なかなか本音を聞き出せない顧客がいました。その顧客はお酒を飲まないため,私が得意とする「飲みニケーション」も不発でした。何とかして本音を聞き出そうと,その人に関する情報を集めたところ,分かったのが「ラーメンにはうるさい」ということでした。
次の訪問時にすかさず,「いやあ,この間おいしいラーメン屋を見つけまして」と切り出しました。すると,その顧客は見る見る表情を緩めて,麺の固さからチャーシューの味付けに至るまで,様々なウンチクを語り出しました。その後,「百聞は一見にしかず」と,一緒にラーメン屋に繰り出すことに。これをきっかけに,それまでどこかよそよそしかった顧客との距離が,ぐっと縮まりました。
話のネタはたくさんあるはずです。要は,情報収集なのです。
|