日経BPコンサルティングは2006年12月、独立行政法人サイトの使いやすさに関するランキング調査の結果「独立行政法人Webサイトユーザビリティ調査2006-2007」を発表した。調査対象の104のWebサイトのランキングを紹介しよう。ランキングの首位は産業技術総合研究所。同研究所のWebサイトは、主要なコンテンツへのリンクをトップページに分かりやすく配置するなど、利用者に配慮した作りになっている。2位には日本貿易振興機構(ジェトロ)、3位には年金積立金管理運用が入った。
(中野 淳=日経パソコン)


 教育機関や組織などを母体にする100以上の独立行政法人がある。国立病院や国民生活センター、都市再生機構(旧住宅・都市整備公団等が母体)など、身近な団体も多い。独立行政法人は、従来の組織より運営の自由度が高い半面、透明性の確保のため幅広い情報公開が法律で義務付けられている。

 ところが、調査の結果、独立行政法人のWebサイトは使いやすさに関して、さまざまな問題を抱えていることが明らかになった。これでは、世の中に対する情報公開が十分だとはいえない。

個人情報保護の取り組みが不十分

 例えば、本部の住所・電話番号をWebサイトに掲載していた独立行政法人は26.0%しかなかった。画像に対して、内容を説明する「alt属性」(代替テキスト)が設定してあれば、音声読み上げソフトで説明を把握できるので、視覚障害者などがWebページの内容を理解しやすくなる。画像に対してきちんとalt属性を設定している独立行政法人は11.5%だった。

 分かりにくい固有名詞や専門用語も、Webページの使いやすさを損なう。とりわけ、リンク名にこうした言葉を使っていると、利用者は目的の情報にたどり着くのが困難になる。トップページのリンク名を適切に設定していたのは38.5%のWebサイトだった。

 Webサイトの多くは、問い合わせやメールマガジンの申し込みなどの際に、利用者の個人情報を受け取る。安心して使えるWebサイトにするには、個人情報保護の取り組みなどを、サイトで分かりやすく説明する必要がある。収集している個人情報の種類や内容を明記しているWebサイトは16.3%だった。

(日経パソコン2007年1月8日号に、調査結果の解説記事を掲載しています)

●ランキングの上位に入った独立行政法人サイト(1位から10位)
順位 企業・サイト名(URL) 総合得点
100点満点
1位 産業技術総合研究所 86 点
2位 日本貿易振興機構 85 点
3位 年金積立金管理運用 83 点
4位 中小企業基盤整備機構 78 点
4位 工業所有権情報・研修館 78 点
6位 自動車検査 77 点
7位 日本学生支援機構 76 点
7位 勤労者退職金共済機構 76 点
9位 日本万国博覧会記念機構 72 点
10位 農林漁業信用基金 71 点
10位 農業・食品産業技術総合研究機構 71 点

●ランキングの結果(1位から104位)

【ランキングの算出方法と評価項目】

●ランキングの算出方法と評価項目
5分野47項目の調査結果を基に、Webサイトの使いやすさを100点満点で評価した。調査対象は104の独立行政法人のWebサイト。調査期間は、2006年8月下旬から10月上旬。詳細は調査を実施した日経BPコンサルティングのWebページに掲載している。

・トップページの使いやすさ 25点
トップページが、利用者に配慮したサイトの入り口になっているかを10項目で評価
・ナビゲーションの分かりやすさ 25点
Webサイトの構造、ほかのページへのリンクなどの使いやすさを12項目で評価
・アクセシビリティの確保 30点
高齢者や障害者などを含む多様な利用者に対して配慮しているかを15項目で評価
・問い合わせに対する配慮 10点
利用者からの質問や連絡が容易にできるように配慮しているかを4項目で評価
・プライバシー、セキュリティの確保 10点
プライバシーやセキュリティの確保に関する取り組みや情報公開を6項目で評価