回答

あります。名刺管理とC2C(クリック・ツー・コール)を組み合わせて、営業業務のツールとしているシステムが便利です。

 IP電話はアプリケーション連携をしてこそ真価を発揮すると言われています。また、昨今キラーアプリとして色々なアプリケーションが注目されています。

 特に2003年当初は、インスタントメッセージの普及とともにIP電話にもプレゼンス機能を搭載することが必要と言われてきました。プレゼンス機能とは、相手の電話機の状態や人の状態をリアルタイムに通知する機能です。

 今までの電話機は電話をしないと相手がどのような状態に置かれているか分かりません。例えば、会議で離席中なので電話が取れないといったことは電話をかけて取り次ぎの人と話して初めて分かることでした。

 プレゼンス機能を利用することにより、電話が取れるかどうかを確認してから電話できるようになります。

 しかしながらプレゼンス機能はキラーアプリとはなりませんでした。そこでIP電話メーカーは色々なアプリケーションとさらに連携を始めました。以下に例を挙げましょう。

1)ボイスメール(留守電機能)
2)IVR(音声自動応答)
3)プレゼンス(状態告知)
4)CTI(電話顧客対応)
5)テレビ会議
6)グループウエア(企業情報管理)
7)C2C(クリック・ツー・コール)
 ・グルメ・サイト
 ・占いサイト
 ・旅行サイト
 ・カウンセリング・サイト
  などなどで応用

 現在、C2Cを利用したアイデア・サイトが少しずつ目に付き始めています。ここで書いているアプリケーションのほかに、メーカーとタイアップして基幹業務と連携しているIP電話のシステム開発が促進されています。

 冒頭で述べた、名刺管理とIP電話の連携は導入のプロセスや使用規模をユーザーが好きなように構築できます。百聞は一見にしかず。想像するだけでなく使うことでその便利さが実感できるシステムとなっています。

名刺管理とIP電話を段階を追って連携する

 以降は簡単に名刺管理とIP電話の導入プロセスと利用方法を記していきます。

【導入方法】

(1)名刺管理ソフト+専用スキャナーを購入する。
 量販店で購入すれば1万円以下です。この時点でお手持ちのパソコンにソフトとスキャナーを接続すれば個人での名刺管理が実現されます。

(2)名刺ファイリング・サーバーの導入
 企業での購入が必要となり、外部のネットワークへの接続が必要になります。価格はアカウント数で決定されますので詳しくはメーカーに問い合わせて下さい。これを導入することで、パソコンのWebブラウザ、携帯電話のWebブラウザで閲覧が可能になります。携帯電話の場合、Webから相手先へ電話をすることができます。

(3)IP電話システムとの連携導入
 この部分は、IP電話に習熟しているインテグレータとの相談が必要になるでしょう。価格はアカウント数で決定されますので詳しくはメーカーに問合せ下さい。

 ここまでやることで、IP電話機能を使用したブリッジ通話ができるようになります。ブリッジ通話とは、IP電話システムを仲介として発信者と着信者を接続するもので、電話番号の秘匿、電話料金の公私区分化ができるようになります。

 このように導入プロセスを進めるごとに機能が付加されてきますが、各段階で導入を止めることも可能なのです。要求が増えてくるごとにステップアップが可能で、ユーザーにとっては取り扱いが容易な商品と言えます。


 名刺+IP電話の利点としては(図1)、(1)名刺を大量に持ち歩かないでも携帯電話で確認できる、(2)携帯電話の電話帳にユーザーの電話番号を登録する必要が無いため携帯電話の紛失時に情報の流失が発生しない、(3)ブリッジ通話を行うため、電話番号が秘匿となり、着信、通話履歴にユーザーの履歴が残らない、(4)ブリッジ通話のため個人の携帯で利用しても、通話料は企業持ちとなり、公私区分が明確になる、といったものです。

  図1●IP電話と名刺管理を組み合わせたシステムの概要
かけた側で通話料が発生しない、公私分計が容易に実現できるなどのメリットがある。
[画像のクリックで拡大表示]

 筆者の社内にも既にそのシステムを導入しています、やはり社外より名刺の情報を気軽に見られて、客先に自分の携帯番号を公開せずに電話を掛けれるのは非常に便利です。

 今まではよく行くユーザー先の名刺を名刺入れに入れて、パンパンの名刺入れを持っていましたが、今では携帯で、その用を済ませています。

 このように、身近なシステムとIP電話が連携するようになり少しずつコミニュケーションの在り方が変化しているように感じます。

 最近、「携帯電話でもう一つの電話番号はいかがですか?」と050番号を付与して、携帯電話の番号ではなく、050番号に掛けてもらったら携帯に接続するサービスを始めた会社があります。これも多様化した携帯電話のニーズとIP電話の連携を行った例だと思います。

 電話が発明されたのが1876年、日本に移動体通信(当初は自動車電話)ができたのが1954年と言われています。百年以上の歴史の中で、コミニュケーションはその電話機とインフラによって様々な使用形態が作られて来ました。今後はそこにアプリケーションとが加わってきて、より便利なコミニュケーションを実現してくれると思っています。

 筆者の会社の社長は「一日5分間の業務効率アップをIP電話でと」提唱しています。一人の従業員が5分間効率をあげることにより、企業における年間の収益が好転する事になると信じています。

 筆者が小さいころ見ていた、「スーパージェッター」(公式サイト http://www.s-jetter.tv/)と言うヒーローアニメでは腕時計みたいな通信機器で「流星号」と呼ぶと空を飛ぶ乗り物が来てくれます。既にNTTドコモはこのような腕時計型PHS(WRISTOMO)を開発してアニメの世界を実現しています。このように世の中は技術革新により、実現不可能と言われていた物を可能としています。

 ここにIP電話が投入されることにより、さらに便利な機能が追加されていくことになると信じています。

 IP電話を見ているだけではその恩恵に与れません。そろそろIP電話の導入を考えてみませんか?


柿原 亘(かきはら わたる)
スカイウェイブ株式会社 福岡R&Dセンター センター長
福岡県大牟田市出身
大牟田高校電気科卒業後三井石炭勤務。平成元年ソフトハウスに移籍、主にOA系システム開発。平成9年独立、携帯コンテンツ、ネットカフェ立上げ。平成12年スカイウェイブ。IP電話事業に従事。IP電話の将来性に惹かれIP電話の企画、営業を担当。現在、福岡でIP電話ソフト開発関連施設の立ち上げに従事している。