転職で失敗し、ひどく後悔しました。その経験がトラウマになって、新たな転職に踏み切れません。奥井さんは過去に何度も転職したそうですが、後悔したことはないですか?
(システム・インテグレータ勤務、SE/男性・37歳)

A: 後悔を恐れていては前進できない。時間がすべてを解決する!

 私は,転職を4回経験しました。その間,後悔したことは数え切れないほどあります。

 それらの中で最も後悔したのは,初めての転職でボストン コンサルティング グループに入社した時でした。何しろ,周囲にいるのはハーバードやスタンフォードといった,米国有数の大学でMBAを取得した人ばかり。年上の私よりも明らかに優秀で,とてもかないませんでした。コンサルタントへの道を選んだものの,その想像以上の厳しさに,1年間は後悔していたと思います。

 それでも,私は懲りずに転職しました。経営幹部として他のコンサルティング会社に移ったのです。ところが,そこでも想像以上の厳しさが待ち受けていました。外資系数社で経営者を務める間も,つらい思いを何度も味わいました。その時も,後悔しました。

 でも,今となっては自分の来た道を全く後悔していません。独立して自分のやりたいことを仕事にし,新たな目的と夢を持っているからです。過去の自分は,現在の自分のためにあったのだと心から思えるようになりました。

 もし,私が後悔するたびにあきらめていたらどうなっていたでしょう。きっと,どこかの外資系企業で,不満を抱えながらも普通の雇われ経営者に納まっていたでしょう。経営者にもなれずに,中間管理職にとどまっていたかもしれません。そう考えると,「後悔とは一時の気の迷いにすぎず,それで人生をあきらめてはいけ ないのだ」とつくづく思うのです。

 人生の目的を何に置くのかは人によりますが,私はとにかく楽しい人生を送れればよいと思っています。後悔するより,前に進みましょう。必ず道は開けます。

奥井 規晶(おくい のりあき)
1959年神奈川県出身。84年に早稲田大学理工学部大学院修士課程修了。日本IBMでSEとして活躍後,ボストン コンサルティング グループに入社。戦略系コンサルタントとして事業/情報戦略,システム再構築,SCMなどのプロジェクトを多数経験。その後,アーサー・D・リトル(ジャパン)のディレクターおよび関連会社のシー・クエンシャル代表取締役を経て,2001年にベリングポイント(元KPMGコンサルティング)代表取締役に就任。2004年4月に独立。現在,インターフュージョンコンサルティング代表取締役会長。経済同友会会員,日本キューバ・シガー教育協会専務理事。