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発見!イノベーション企業

【あさひ】PB商品の拡充で斜陽論一蹴
快走する“自転車のユニクロ”(前編)

西 雄大=日経情報ストラテジー 2007/01/10 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2006年11月号58ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

ホームセンターの台頭によって自転車の販売価格の下落が加速している。多くの販売店が窮地に追い込まれていく一方で、出店攻勢をかけている。プライベートブランド(PB)商品の開発に力を入れ、自社の店舗網で売りさばく。商品開発部門を持ち、顧客の声をただちに商品に反映する。開発から整備まで一貫した体制を構築することで、ホームセンターに立ち向かう。

●あさひの概要と業績推移
●あさひの概要と業績推移

 1日に100件のパンク修理をこなす自転車販売店がある。全国に120店舗展開する、あさひがそれだ。大阪府吹田市にある千里丘店もその1つ。「大抵の修理は10分以内で終わる。雨が降った翌日は特に多い」(小林道弘店長)という。パンク修理を待つためのベンチのほか、通学や子供の送り迎えで急ぐ顧客には代替車も貸し出す。

 「突然パンクしたが、近所に直してもらえそうな店がなく押してきた」とパンクの修理待ちをしていた中学生が話すように、自転車販売店は減少の一途をたどっている。総務省統計局の商業統計によると、1996年に2万791店あったのが2004年には1万2540店まで減少している。いわば斜陽化しつつある。そんななか、あさひは出店攻勢をかける。ここ5年間で68店増やし、120店を超えた。2001年度には売り上げが64億円で経常利益が3億5000万円だったのが、2005年度には売り上げは120億円で経常利益は9億2500万円と、この5年間で売り上げは倍増し、利益は3倍増となった。

 自転車販売店が減少している一因として、ホームセンターの台頭がある。「この10年間で自転車販売における主役が変わった」と下田進社長が説明するように、ホームセンターが低価格商品を武器に攻めている。ホームセンターの販売方法はセルフサービスが主体で、商品が画一化している。黒や銀など限られた色の自転車が大量に並び、顧客は自らの知識だけで選んで購入する店舗が一般的。少品種で大量販売し、省人化することでコストダウンを図っているためだ。

 だが、自転車には洋服と同様にサイズがある。26インチのマウンテンバイクであっても、フレームのサイズは複数ある。ホームセンターにおける自転車は一部門でしかないために、人事ローテーションで数年間で異動となってしまい専門知識が身に付きにくい。しかも省人化するために、修理には力を入れていない。パンク修理を依頼しても、1週間かかるという店舗もある。

ねじ1本までこだわって発注

 これに対して、あさひはこれまでの自転車販売店やホームセンターとは一線を画す。コストダウンを図りながら、顧客満足を向上させるための方策を考えている。具体的には、プライベートブランド(PB)商品の開発と人材教育の強化である。この2点を強化することで、あさひは差異化要因を見いだしてきた。PB商品の売り上げは全体の40.7%、アフターパーツや修理の割合は27.2%に上る(2005年度)。単に自転車を仕入れて販売するだけではなく、接客や修理を通じて得た情報をPB商品開発に生かす。さらに自社の販売網で売り、修理もその場でこなす――。このサイクルがあさひの強みなのだ。

 あさひは、PB商品の開発段階から携わる。社内にデザインと設計部門を置き、PB商品で使用する部品は部品メーカーに出向いて選定する。「ねじ1本まで指定して発注する」(商品部購買課の白石達彦課長)といった徹底ぶりだ。こうして仕様書を作り、中国の協力工場に生産指示する。

 あさひがメーカーとも異なるのは、多店舗展開しているため顧客の声をじかに吸い上げられる機会を持っていることだ。店舗からのPOS(販売時点情報管理)システムのほか、現場の社員からのアイデア提案を参考にしながら商品開発している。定型的な紙のほか、電話やファクスなどで年間数百件は入ってくる提案を、PB商品の開発に生かす。社内にデザイナーがいるため、「ハンドルに取り付ける、もっとおしゃれな防寒用の手袋がほしい」といった声にも対応できる。

 修理業務も重要な情報源となる。提案を基に商品化したのが、子供用のマウンテンバイクである。マウンテンバイクには変速ギアが付いているが、ギアが原因でチェーンが外れることが多かった。ある店舗で、修理に来た母親からの「外れにくい商品はないのかしら」という一言がヒントとなった。早速担当者が商品部に提案を出して、一般用の自転車に使われているギアを内蔵する方式に変えた商品を発売した。他社にはないPB商品を開発したことで、2年間で6000台販売するヒットとなった。

カラフルな色が並んだ千里丘店(大阪・吹田市)の子供用自転車コーナー。一車種に最低でも4色そろえる。同店ではPB商品を中心に1000台がずらりと並ぶ
カラフルな色が並んだ千里丘店(大阪・吹田市)の子供用自転車コーナー。一車種に最低でも4色そろえる。同店ではPB商品を中心に1000台がずらりと並ぶ

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