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アイ・ピー・ビジョン CTO 三浦 雅孝 |
SIPインターネット電話サービスに接続できるソフトフォンは数多い。マイクロソフトのWindows MessengerもSIPサーバーに接続できる。また、PDAやスマートフォンに搭載するソフトフォンは、注目のツールである。ホットスポットなどの無線LANにつながる場所ならば、安い料金、もしくは無料で電話ができるからである。こういったソフトフォンをテストしてみた。
SIPインターネット電話サービスを提供するISPの多くは、ソフトフォンの利用を推奨している。たとえば、第2,3回で紹介したGizmoプロジェクトは、オリジナルのソフトフォンを無償で提供している。そのソフトフォンには単なる電話機能だけではなく、プレゼンス、電話帳、インスタント・メッセージ(IM)、マップ表示などの多彩な機能が組み込まれている。このような機能は、従来のハードウエア・ベースの電話機では実現できなかった。SIP電話サービスが、単なる電話機のリプレースではなく、新たなコミュニケーション、コラボレーションのプラットホームと言える所以(ゆえん)である。
PC用ソフトフォン
Pulver.comのソフトフォン
米国のSIP電話サービスとしては老舗のpulver.comは「FWD .Communicator」という無償の専用ソフトを配布している(写真1)。マルチプロキシ(複数アカウント)をサポートした「pulver. CommunicatorPro」は有償である。これらは、IMやプレゼンス機能を備えている。IMはAmerica Online (AOL) 、MSN、Yahoo、Googleなどのサービスに対応している。また、TV電話機能も備えている。
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写真1●「FWD Communicator」の画面 TV電話やインスタントメッセージ機能もサポートしている。 [画像のクリックで拡大表示] |
設定は簡単である。同社のサイトからソフトウエアをPCにダウンロードして、画面に表示される指示に従ってインストールする。ファイル・メニューからLoginダイアログを開いて、「Get new account」を押す。FWDのアカウント登録ページに接続されるので、そのページで必要な情報を登録すれば、自動的にアカウントが設定される。
ソフトフォンというと、ダイヤル・パッドがデザインされた画面を思い浮かべる。しかし、このソフトはBuddy Listと呼ばれる、コンタクト・リストを中心にデザインされている。ここに登録されているメンバーに電話をするか、IMを送るか、電子メールを送るかを選択する。またRSS情報も同じ画面に表示される。電話をかけるだけでなく、グループ・メンバーとの情報共有やコミュニケーションを助けるツールとしての利用を考えた設計となっている。今後のSIPによるオフィス・コミュニケーションの方向性を垣間見せている。
サポートしている音声コーデックは、G.723、G.711 μ-Law、G.711 A-Law、GSM、SIREN、DVI4、G.722.1など豊富だ。画像コーデックはH.261とH.263をサポートしている。