情報責任

 サイトの目的を明確にするということは前回述べた。また、情報を誰とやりとりするのかその相手先も明確にすべきであろう。一般的な企業のコーポレートサイトでは、

 *株主、投資家
 *就職希望者
 *製品・サービス購入希望者
 *偶然アクセスした方
 *対象サイトの情報に興味がある方々
 *マスコミや報道機関
 *その他

 などが考えられるが、更に情報責任(Information liability)をはっきり明示して発信することが重要である。具体的には、全ページにコピーライト表記(法人名等)を掲載するとか、サイトポリシーに情報の責任について記述するなどの配慮は最低限必要だ。

 つまり、はっきりと情報責任の所在を明らかにし、お客様や各相手方とコミュニケーションするという姿勢が基本であろう。会社名は当然のことながら、海外のサイトでは、企業側の担当者は個人名を出してコミュニケートする場合が多い。

 相手が見えないコミュニケーションこそ最も不安だからだ。国内でもこの傾向が強くなってきているが、かつては個人名を出しての対応ということは少なかったような気がする。

  このあたりの感覚はウェブは新聞、TV、ラジオ、雑誌などのOne Wayの広告媒体と違いインタラクティブなメディアであるという大きな違いであろう。

 また、逆にウェブコンテンツは簡単にコピーされる恐れがあるため、第三者に無断使用されたり、フレームの中であたかも自分の情報であるかのように振る舞われたりする可能性がある。

 最近では悪意を持ってフィッシング(詐欺)サイト等を作られてしまう場合もあるため注意を要する。

 コンテンツを制作する場面では必ず、その情報は誰向けなのか、そして情報責任は誰なのか、また、著作権をはじめとする各種権利は誰のものなのかを常に考慮しておく必要がある。特に著作権など明確でない場合は、明確になるまで公開してはならないのは賢明な読者の方なら当然理解できるであろう。

 IRに関する情報は各方面への影響も大きいため注意を要した方がいいだろう。記載された数字に間違いがないのは当然だが、その数字の改ざん使用にも気を配りたい。通常のコンテンツであれば HTMLで済む場合が多いが、この手の重要な情報は、コピーや改ざんが困難なpdfファイルにするなどの配慮は必要かもしれない。

 また、発表前の情報(発表文、関連する写真、データなど)も、約束された公開予定前にインターネット上のサーバー内に置かないなど,意外とルーズな場合が多いので再確認が必要だろう。

 また、発信情報とは逆の受信情報に関しても責任ある管理ができるほうが望ましい。  つまりお客様や相手方が入力した情報の扱い方である。

 つまりお客様や相手方が入力した情報の扱い方である。

 たとえば、ウェブ上で情報をいただく場合はメールでなくフォーム入力にし、さらにhttpsやなんらかの暗号化プロセスを経て必要部署へ転送するなどはもちろん、入力された情報をインターネット上のサーバー内に蓄積させないなどの配慮も必要だと思う。。

 特に、人事採用などは、新卒予定者からの情報や中途採用者の情報などを大量に受けることが多いと思われるが、このあたりの十二分な配慮も必要だ。その他、一般的なお問い合わせ窓口なども同様の課題が発生する。

 このあたりは、個人情報保護法ともオーバーラップするため各社なんらかの対策は考慮されていると思われるが、個人を特定することができる情報は個人情報に該当するため不安な場合は専門部署や専門家との確認をお勧めする。

 当然このようなことはないと信じているが、虚偽の情報の発信などコンプライアンス的に相応しくない情報は発信しないなど、厳重に細心の注意を払いたい。

 マーケティングなどの多くは国内向け情報が多いため、その対象国の規則を守ればよいのだが、国境をまたぐ、あるいはグローバルを対象とする情報発信やビジネスに関しては、その内容にも左右されるが、該当する国や地域の法律やルールを守る必要があるため、不安な場合は事前の確認が必要だろう。

 法律ではないが、発信したコンテンツが、ある国や地域の文化、慣習的に摩擦を起こすこともあり得る。(私も何回か経験した)

 このように対象とするエリアが広くなればなるほど想像していなかった課題や問題が発生するリスクをはらんでいる。運悪く、事前の確認が及ばず問題が発生してしまった時は迅速に誠意をもって対応する姿勢が大切だろう。

 ルールを守り、良き社会人としての自覚を持ち、相手方と接する心がけが必要だ。そして、社会的責任を考えながら、活き活きと活動されることを期待する。