図 複数の波長を組み合わせることで光信号を電気信号に変換せずにやりとりするROADM
図 複数の波長を組み合わせることで光信号を電気信号に変換せずにやりとりするROADM
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 ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)とは,波長多重方式とパス管理の技術を組み合わせ,超高速・大容量の伝送ネットワークをうまく運用するための技術である。都市圏エリアをカバーする光コア・ネットワーク網を柔軟に効率よく運用できるため,NGNでの利用が見込まれている。

 ROADMでは,IPネットワークと接続する「ROADM装置」を,光ファイバでリング状につないだ構成をとる(図)。各装置では,波長多重された光信号から任意の波長の光信号を取り出せ,逆に任意の波長の光も混ぜられる。このおかげで,電気信号に変換せずにパスのフレームを取り出せるので,超高速の伝送速度を保ったまま,柔軟なパス管理が可能となる。

 ROADMは,RPRのようにパケット単位で出し入れするのではなく,従来のSDH/SONETのように装置間で光信号を使ってデータを転送するパスを設定する。このパスの設定は,「オペレーション・センター」が各ROADM装置に対して命令を発行することで追加・変更・削除できる。

 ROADMでは,SDH/SONETに比べ,多くのパスを一つの波長に割り当て,たくさんの波長を多重化できる。例えば,NECでは,1波当たり40Gビット/秒の光信号を40波多重する装置と80波多重する装置をすでに製品化しており,80波多重ならば全帯域の合計は3.2Tビット/秒にもなる。

 ROADMのもう一つのメリットは,パス管理の柔軟さである。波長に割り当てたパスをリモートから任意に変更できます。さらに,IPを使って光波長の経路などを制御できる「GMPLS(generalized multiprotocol label switching)」という新しい技術を利用して,ある波長のパスに障害が発生したときに,ほかの波長のパスに自動的に切り替えたりすることも可能である。