12月3日から一週間,「ITU TELECOM WORLD 2006」を取材するため香港へ出張しました(写真1)。筆者が海外へ行く度に楽しみにしているのは,国内ではなかなかお目にかかれない携帯電話やPDA,スマートフォンなどを,じかにウォッチすることです。今回は出張の目的が先端のモバイル技術に沸くITU TELECOM WORLDへの参加ですので,仕事と個人的興味が大いに一致する幸運な体験でした。ITU TELECOM WORLDの会場で目を引いたデジタル・ガジェットをいくつかご紹介したいと思います。

  写真1●ITU TELECOM WORLD 2006会場のアジア・ワールドエキスポ

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 韓国サムスン電子のブースで見たのは,開幕前から話題になっていたモバイルWiMAX端末「SPH-P9000」です(写真2)。同端末は蝶の羽のように(?)キーボードと液晶ディスプレイを広げることができる製品です。

  写真2●サムスン電子ブースの目玉の一つだったモバイルWiMAX端末「SPH-P9000」

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 このサイズでWindows XPを搭載し,モバイルWiMAXだけではなくCDMA2000 1xEV-DOによる通信も可能とのことです。実際に触ってみましたが,きょう体やキーボードは思ったよりもしっかりした作りでした。SPH-P9000を操作しながら「このような製品は本来ならソニーから出てきてもよさそうなのに」と思ったのも事実です。サムスン電子のブースにはほかにも,「Ultra」シリーズと名付けられた,薄さを追求した携帯電話端末がいくつもありました(写真3)。

  写真3●サムスン電子は「Ultra」シリーズ・ブランドで薄型携帯電話端末を多数展示

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 中国の宇龍通信という会社のブースでは,日本と異なる携帯電話文化を実感する製品を見ました。「Coolpad 酷派」(酷は中国語で「cool」の意味)という端末で,SIMカードの2枚挿しができます(写真4)。日本で言えば,1台でNTTドコモとソフトバンクモバイルの両方が使え,かつ同時待ち受けができる,といった感じでしょうか。日本と異なりSIMフリーが当たり前のGSM圏ならではの製品でしょう。ちなみに,中国では中国聨通(チャイナユニコム)が「世界風」というGSMとCDMAの両方に対応するサービスを提供しています。中国聨通のブースには「雙模技術」と題して,GSMとCDMAのデュアル技術をアピールする展示もありました(写真5)。

  写真4●SIMカードの2枚挿しができる「Coolpad 酷派」

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  写真5●中国聨通はGSMとCDMAのデュアル・モード技術をアピール

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 携帯電話以外にも眼を向けましょう。香港に本社を置くGROUP SENSE社のブースにあった電子辞典「快譯通」は,言わば“全部入り”の製品で,非常に驚きました。英中・中英辞典や日中・中日辞典,英英辞典などはもちろん,なんと英語-中国語間の文章翻訳機能を搭載しています。しかも翻訳結果を,英語,北京語,広東語で発音させることまで,できるのです(写真6)。

  写真6●カラー液晶も綺麗な電子辞典「快譯通」

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 実際に試してみるため,九龍にある家電量販店で「快譯通MD8880 Color」を2980香港ドル(約4万5000円)で購入しました。簡単な英文を入力すると,見事,ちゃんとした中国語に翻訳できます(写真7)。快譯通には他にも住所録やスケジュール管理,MP3や動画再生機能,USB経由のパソコンとの同期機能,SDカード・スロットなどが付いています。デジタル・カメラを内蔵する機種もありました。まだ試していませんが,同社Webサイトから追加コンテンツの無償ダウンロードもできるようです。

  写真7●中国語-英語の文章翻訳機能を搭載

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 “小型,薄型,軽量かつ多機能”は日本電子機器メーカーのお家芸だと思っていたのですが,アジア・メーカーもかなりの実力を付けている,と実感した香港出張でした。