体制

 前回は、ウェブの重要性について述べさせていただいた。ここまで成熟し大きなパワーを秘めて新しいメディアとなったウェブをどう活用するのか、しないのか、それは当然だが使う側の姿勢で大きく左右される。未だこれらの現実を認識していないか理解していないと思われる場面にたびたび遭遇することがあるため、敢えて述べさせていただいた。

 自社の所有するメディアとして、その価値や力を十二分に発揮させるためには、適切な社内体制が必要となる。インターネット黎明期の企業サイトでは、よくボランティアやIS関連の担当者が片手間に従事するという話を耳にしたが、さすが現在はそのようなことはないだろう。

 前回の内容からいくと、いまや、ちょっとした放送局を社内に持つことと同等のことだと思う。今までは、放送局だけでも独立した法人として運用していたが、この放送局を既存の組織の枠内で運用するのか、専門の体制で臨むのかということだろう。

 ウェブの目的にもよるがその体制は各社各様のものがあり、これには正解というものはない。変遷的には、広報、総務、宣伝、マーケティングあたりの部署が主管部署となり運用しているケースが多いようだが、最近では独立した機能として法人各部署全体を横断的に管轄し、戦略的に最大限にウェブを活用する組織体制をとる企業が増えてきているようだ。ウェブ戦略オフィス、ウェブ戦略センタ、ウェブ統括部‥‥などなど新しい部署が目につき出した。

 更には、各社がウェブに取り組む姿勢やその夢の度合いがその名称や社内体制に現れると言ってもいいかもしれない。経験的な感想から言わせていただくと、全体最適を見る事ができ、かつ戦略的、機動的にウェブ活用に関してディレクションを出せるようにするには、それなりの権限とバジェットを持った独立組織がその目的を達成しやすいだろう。

 しかし、くどいようだが、これは各社の規模や業種、ウェブサイト開設の目的等によっても異なりその最適な形の正解はない。

サイトの持ちかた

 ウェブはご存知のように、ビジネス領域のあらゆる分野で活用されるため、時にはマーケティング、時には採用、時には広報、時にはIRなど様々な要求と要件を満たしていかねばならない。

 企業によっては、それぞれの領域毎にサイトを立て、それぞれバラバラのURLで告知するものもあれば、商品やサービス毎に別々のサイトを立て別々にプロモーションする、あるいは、法人単位で一つのサイトにまとめて訴求するなど各様のようだが、どのような形態が自社にとって相応しいのか冷静に検討してみるべきだと思う。

 会社のコンセプトによってこれまた正解がないが、私は、お客様から見て、覚えやすく、簡潔に、できるだけ少ない情報(記憶)でそのサイトにアクセスできるようにすべきだと思っている。

この考え方からいくと、

*外から見たサイトは目的別、領域別、法人別等にまとまっている
*トーンアンドマナーが一貫している
*ナビゲーションやその考え方は統一されている
*告知するURLに規則性、一貫性がある。

最低でもこれくらいのまとめ方は必要であろう。

 話が前後するかもしれないが、何のためにサイトを公開するのか?

 その目的を明確にし、スタッフや社内で共有しなければならない。以外とこの基本的なところが抜けていることがあるようだ。この目的によってサイトのコンセプトが決まり、情報構造、ナビゲーション、デザイン、そしてシステムが決まる。

 ここまではプラン通りに進めていけばほぼ形はできるのだが、肝心なのは運用体制である。日常の定常運用を円滑に機能するようにするために意外と手間と費用が発生する場合が多い。つまり、運用体制をどのようにするのかということにかなりの重きをおいて検討すべきである。

 コンテンツの作成、リリースプロセス、指揮命令承認、更新、緊急時対応、システム運用管理、etc.

 一連のフローや現場の体制をどのように構成するかが、その後の業務効率や発生費用を大きく左右することになる。

フォーメーション

 社内での立ち位置やミッション、運用体制、業務の推進コンセプト、今後の方向性や計画などなどそれぞれをどう構成しマネージしていくのか、まさしくアメフトやサッカー、はたまた、あらゆる攻めの場面と同様だが、そのフォーメーションをどう形成するかを戦略的に考え、時には場や時代の風を読みフォーメーションを変形させながらディレクションしていくことがサイトマネジメントに求められるのであろう。