手軽に知人や友人とのコミュニケーションを図る手段として,IP電話やインスタント・メッセージ(IM)はとても便利である。ここでは,フリーのIP電話やIM関連サービスのうち,とくにお薦めのサービスを紹介していこう。


世界中のSIPサービスと連携可能

 まず紹介するサービスは「Gizmo PROJECT」である(図1)。その便利さと将来性から“Skypeキラー”と評する人もいるほど。今大きな注目を集めているサービスだ。

図1●Gizmo PROJECT
図1●Gizmo PROJECT
http://gizmoproject.com/intl/ja/

 Gizmo PROJECTの正体は,呼制御プロトコルとしてSIPを採用したインターネット上のIP電話サービスである。ユーザー同士は無料で通話でき,専用クライアントを使えば音声通話以外に相手のプレゼンス(在席状態)を確認したり,チャット・メッセージを送ったりもできる。

 ただ,これだけならSkypeなどほかのIP電話サービスもほとんど同じ。Gizmo PROJECTが優れているのは,呼制御方式としてSIPを採用しているので,同じくSIPを利用しているほかのIP電話と簡単に相互接続できる点にある。

 実際,同サービスでは世界中にある100以上ものSIPサービスとすでに相互通話可能になっている。IP-PBXを介して企業の内線IP電話とつなぐことも比較的簡単で,代表的なオープンソースのIP-PBXソフトである「Asterisk」とも連携可能だ

着信用の電話番号を無料で取得

 次に紹介するのは「StanaPhone」というサービスだ(図2)。このサービスもGizmo PROJECTと同じくSIPを使ったIP電話サービスである。このサービスが持つ最大の特徴は,加入電話からの着信を受けられる電話番号がタダでもらえるという点にある。具体的には,「914-301-8319」といった形式の米国の電話番号を着信用番号として取得できる。この電話番号にかかってきた電話をパソコンやIP電話機で受けられるわけだ。

図2●StanaPhone
図2●StanaPhone
http://www.stanaphone.com/

 SkypeやGizmo PROJECTも同様のサービスを提供しているが,すべて有料である。それなのにStanaPhoneでは無料で取得できてしまうのは驚きだ。「本当に無料で使えるの?」といぶかる人もいるだろうが,実際に筆者は2年近く使い続けているので間違いない。

 便利なのは,電話を受けられなかったときに預かった音声メッセージを,メールの添付ファイルとして登録メール・アドレスに送ってくれる機能だ。緊急連絡用にこの電話番号を教えておけば,世界中のどこにいても音声メッセージを受け取れる。留守番電話だけでなくFAXまでTIFFファイルとしてメールに添付して受け取ることができるなど至れり尽くせりだ。

複数のIMサービスをまとめて管理

 MSN MessengerやYahoo! Messenger,Google Talkなど,IMソフトを使っている人は多いだろう。ただ,IMサービスは大手だけでもいくつもあり,ある友人にはこちら,この知り合いはあちらという具合に,個別にクライアント・ソフトを使い分けようとすると次第に収拾がつかなくなってくる。

 そんな状況に困っている人は,「meebo」を使ってみよう(図3)。ユーザーは,meeboのサービスにログインするだけで,あらかじめ登録しておいた複数のIMサービスに一括ログインできる。そして,Webブラウザのウインドウ内でそれらのサービスを同時に使えるようになる

図3●meebo
図3●meebo
http://www.meebo.com/index-ja.html

 インターネットにつながるパソコンさえあればネット・カフェや空港など,どこでも常に同じ環境でIMサービスを使えて便利なので,押さえておいて損はないだろう。

 IP電話関連で,最後にもう一つ便利なサービスを紹介しておこう。それは,「FreeWorldDialup」だ(図4)。

図4●FreeWorldDialup
図4●FreeWorldDialup
http://www.freeworlddialup.com/

 このサービス自体は,すでに紹介したGizmo ProjectやStanaphoneと同様に無料で使えるSIPを使った一般的なIP電話サービスに過ぎない。しかし,同サービスの専用クライアントとセットで使うことにより,ほかにはない特色が現れる。同サービスのユーザーに加えてSkypeユーザーもクライアント上で一緒に管理できるようになるのだ。

 タネを明かせば,この専用クライアントはSkypeの公開APIを使ってSkypeクライアントからユーザーのプレゼンスを取得したり,電話をかけているのだ。ただ,しくみはどうであれSkypeもIP電話も同時に使いたいというユーザーにとっては魅力的な話であることは間違いない。

関連サービス/Webページ

freep(フリープ)

テレビ電話もできる国内の無料IP電話サービス。有料で050番号も取得できる

http://www.freep.ne.jp/

stunserver.org

LAN内で使っているIP電話がNAT越えをする際に利用できる公開STUNサービス

http://www.stunserver.org/

SKMap(ww)-Global Map

Skypeユーザーが,自分がどこにいるかをGoogleMap上に表示して伝えられる

http://skmap.gatagata.jp/