パルタックの「RF-MAST」では、小分け作業担当者の腕にRFIDタグを付ける
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小分け作業の様子。棚のランプを目印に、最大120個並んだ箱に商品を入れていく
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棚にもRFIDタグが付いており、間違った箱に商品を入れようとすると、腕のタグが振動する
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 日用品・医薬品卸大手のパルタック(大阪市)が、RFIDタグ(非接触ICタグ)を活用した商品仕分け支援システム「RF-MAST」を導入し、成果を上げている。

 2006年4月に改装した物流センター「RDC福岡」(福岡県志免町)で導入。小口取引先向けの仕分け作業時間を約3割削減し、センター全体の作業時間も約1割削減する効果が出た。投資額は約2000万円。今後、ほかの物流センターにも導入することを検討している。

 RF-MASTは、小売店に卸す数が1店舗当たり数個といった小口の仕分けをするときに使う。数千品目の商品がずらりと並ぶ広大な物流センターで数個の商品を探し回るのは効率が悪いため、まず、最大120店舗分の商品をまとめて箱に入れておき、それを棚に並べた120個の箱に小分けする。

 この小分けは手作業に頼らざるを得ないが、手作業では間違う可能性がある。そこで、作業担当者の腕にICタグを付けておく。作業担当者は棚のランプが点灯した棚の上にある箱に商品を入れるが、間違った箱に商品を入れようとすると、腕のICタグと棚に付けたICタグが反応。腕のICタグが振動して間違いを知らせる。これによって、手作業でも99.999%の出荷精度(出荷ミス率は0.001%程度)を実現している。

 パルタックは、化粧品や歯ブラシといった日用品を扱う卸だったが、医薬品卸の旧メディセオホールディングスとの経営統合を経て、2006年4月から新たに一般用医薬品(ドラッグストアなどで買える市販薬)を扱うようになった。

 RDC福岡では日用品約2500品目に加えて、一般用医薬品約7000品目を扱う。従来からの日用品の取引先に比べると、一般用医薬品の取引先は、小規模な街の薬局など小口の取引先が多い。量販店向けのまとまった数の仕分けに特化してきたパルタックは効率化を迫られた。

 酒井敏行・取締役専務執行役員情報・物流本部長は、「RFIDタグを使ってみたかったが、現状ではコストが高く、商品や箱にタグを付けるのは難しい。そこで、人にタグを付けるRF-MASTの仕組みを考えた。それでもまだ装置の価格が高く投資回収に時間がかかるため、他拠点への導入については慎重に投資対効果を見極めたい」と話す。