マルチエリアOSPFのまとめとして,マルチエリアOSPFをCiscoルータに設定し,動作を確認するための方法を学びましょう。
マルチエリアOFPFの設定
マルチエリアOSPFの設定は,基本的にはシングルエリアOSPFの設定と同じです。router ospfコマンドでルーターのOSPFプロセスを稼働させ,networkコマンドでOSPFネットワークの範囲を指定します。ただし,シングルエリアOSPFではnetworkコマンドで指定するエリア番号が0(ゼロ)と決まっていましたが,マルチエリアOSPFでは所属するそれぞれのエリア番号を指定します。また,スタブエリアに所属するルーターには,スタブエリアに所属していることを指定するためのareaコマンドを入力します(図1)。このコマンドは,スタブエリア内のすべてのルータに設定する必要があります。
- (config-router)# area [エリア番号] [エリア種別]
- [エリア番号]
- 所属するエリアの番号
- [エリア種別]
- エリアの種別。stub(スタブエリア),stub no-summary(完全スタブエリア),nssa(NSSA),nssa no-summary(完全NSSA)
- [エリア番号]
図1 マルチエリアOSPFの設定
図1にあるR1とR2のルーティングテーブルを見てみましょう。ルーティングテーブルは,show ip routeコマンドで確認できます(図2・3)。
図2 ABR(R1)のルーティングテーブル
図3 内部ルータ(R2)のルーティングテーブル
そのほか,showコマンドでOSPFの動作を確認するコマンドとしては,次のようなコマンドがあります(図4・図5)。
- show ip ospf border-routers ・・・ エリア内のASBR,ABRを表示
- show ip ospf [プロセスID] ・・・ ルータに接続されているエリアの情報を表示
- show ip ospf database ・・・ リンクステートデータベースを表示
図4 R2でのshow ip ospf border-routers
図5 R1でのshow ip ospf [プロセスID]
ABRやASBRだけに設定できるコマンドも存在します。例えば,ASBRが外部ルートをデフォルトルートとして配布するコマンドは以下です。
- (config-router)# default-information originate ・・・ ASBRで外部ルートをデフォルトルートとして配布する
また,スタブエリアと完全スタブエリアのABRは,デフォルトルートを自動的にエリア内のルータに配布します。この際,配布するデフォルトルート情報にコストを設定することもできます。
- (config-router)# area [エリア番号] default-cost [コスト] ・・・ デフォルトルートのコストを設定する