今さらながら,ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が気になっています。と言っても一般的なインターネットのものではなく,企業が社内向けに利用するブログ/SNSです。

 このところ,大手企業が積極的に社内ブログ/SNSを活用するようになってきています。そのうちのいくつかは,社員同士の招待制であるにもかかわらず,SNSを使い始めて半年でユーザー数が数千人規模に膨れあがったといいますから,ものすごい勢いです。「もしかすると世間の会社員は,こうした社内でのコミュニケーションに飢えているんじゃないか」。そんな思いにとらわれます。

 実際,導入目的の一つには「社内のコミュニケーションの活性化」があります。以前から,「社内の風通しが悪い」ことを認識し,改善策を講じる企業は少なくありません。ほかの雑誌の記者から聞いた話ですが,一部のITベンダーは従業員満足度を高めるために,いわゆる「おエライさん」を除く社員だけでフリー・ディスカッションする場を設けているそうです。これによって満足度が高まり,不思議なことに(?)ほぼ同期するようにして顧客満足度も高まったといいます(その因果関係は定かではありませんが)。

 社内ブログ/SNSも,こうした風の通りをよくする場として利用され始めているわけです。正直に言って,ブログ,SNS,あるいはWeb2.0というバズワードに誘われている側面はあると思っています。でも,それだけでは前述した例のように急速に利用が活発化するとは思えません。

 なぜそこまで--。情報を共有・交換できるツールならグループウエアがあります。しかし,特に活用を促さなくてもユーザーが増えるかというと,今の活用状況からはあまり想像できません。エンドユーザーがなぜ社内ブログ/SNSに飛びついているのかは,なかなかハッキリしません。これはもう,体験してみるしかない,そう思っています。思い返してみると,電子メールの始まりもそうだった気がします。

 ちょっと話はそれますが,最近,「若者はなぜ3年で会社を辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来」(光文社新書)という書籍を読みました。多くの日本企業において,給与,業務内容の両面で若者は不遇で,モチベーションが低下している,その原因は今まで日本の社会を支えてきた年功序列という構図にあるというのが著者の主張です。年功序列の構図は,風通しを悪くする原因にもなっているのではないかと思います。社内ブログ/SNSによって今の閉塞感を緩和できるなら--。実際に導入に踏み切った担当者には,そんな思いもあったのかもしれません。

この記事は日経コミュニケーション読者限定サイト
日経コミュニケーション Exclusive」から転載したものです。