図2●「営業効果あり」の回答が多い上位15資格(公的資格)
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 「IT関連資格の有効性に関するアンケート調査」では、IT資格の営業効果の有無も尋ねたが、こうした人気のIT資格はおおむね高い営業効果が認められる(図2)。さらに、「営業効果あり」の回答比率から「営業効果なし」の回答比率を差し引いた「営業効果DI(ディフュージョンインデックス)」として見ると、その傾向はより鮮明になる。

 技術職に取らせたいIT資格で5位の「情報処理技術者試験システムアナリスト」は、営業効果DIでは前回調査より5ポイント増の77となった。また技術職に取らせたいIT資格で2位の「PMP(Project Management Professional)」は3ポイント上げ、80の大台を超えた。

 例外は「ITコーディネータ(ITC)」。営業効果DIは76と依然として高いものの、前回調査に比べ4ポイント減少した。ITCは、中小企業のIT投資をコンサルティングしたい営業担当者に向く。ところが、大企業のIT投資が上向いてきたことで利益率の高い大型案件が増加しており、ソリューションプロバイダの関心もそちらに向きがちだ。これが、ITCの営業効果DIを引き下げたと見られる。

 一方、営業効果は高くないが取得させたいIT資格は、「初級システムアドミニストレータ」や「基本情報技術者」などの初級資格。人材開発担当者がこれらの初級資格をあえて取得させたい理由を、富士通ビジネスシステム(FJB)の大森春樹マーケティング本部営業人材開発部長は「IT資格が顧客との共通言語の役割を果たす」と説明する。ITの専門用語を知らない営業担当者では、ユーザー企業のIT部門から商談相手として認めてもらえないからだ。

ITILとITPSに注目が集まる

 調査では、あらかじめ本誌が指定した計87種以外に奨励しているIT資格も聞いた。ここから分かった「人気が高まりつつあるIT資格」は、ITIL (ITインフラストラクチャライブラリ)関連と「ITプランニングセールス(ITPS)」の二つ。それぞれ10社と7社から回答があった。

 ITIL関連資格とは、「ITILファウンデーション」と「ITILマネージャ」など。ITILをベースにした運用管理サービスを開始したソリューションプロバイダで取得者が増えている。「資格そのものが営業に役立つわけではないが、一定水準を維持した運用管理サービスを提供していることの証しになる」(NTTデータ ウェーブの奥山武功総務部総務担当部長)。

一方、ITPSはソリューションプロバイダの営業担当者向けに開発されたIT資格。企画提案力や情報収集能力など、営業活動に直結した知識や手法を取得できる。このため、「社内で受験申し込みの受け付けを開始したその日に定員数が埋まってしまうほど、営業職の間で人気が高まっている」(FJBの大森部長)。

「IT関連資格の有効性に関するアンケート調査」について
日経ソリューションビジネスが2006年10月に実施。上場企業など主要ソリューションプロバイダ132社にアンケートを送付し、75社(有効回答率57%)から回答を得た。