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日経ソリューションビジネス

コンプライアンス対応が
アプリケーション統合を促進

2006/12/11
出典:日経ソリューションビジネス 2006年11月30日号  71ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
IDC Japan ソフトウェアリサーチアナリスト 鈴木 利奈子 氏 鈴木 利奈子 氏

IDC Japan ソフトウェアリサーチアナリスト
大手ベンダーのSEとして、多数のERP導入プロジェクトに従事。現在は,ITソリューション、エンタープライズアプリケーションの調査・分析を担当

 「アプリケーション統合」とは、企業内で使用される複数のシステムを連携することで、社内に散在する情報を統一し、複数組織にまたがる業務の効率化を実現するための仕組みである。

 企業の規模が大きいほど、複数のシステムを統合する必要に迫られることが多く、また統合時の効果も見えやすいことから、従来アプリケーション統合ソリューションは、大企業を中心に導入が進んでいた。しかし、アプリケーション統合ツールとして、ESB(エンタープライズ・サービス・バス)のような、よりオープンで低価格の技術が利用できるようになったことで導入の敷居は低くなった。そのため中堅企業へも、除々に導入の裾野が広がり始めている。

 業種別に見ると、金融や、通信・メディアを中心に導入が広がっている。合併・再編の続いた金融業界では、システム統合が大きな課題となってきており、複数の異なるシステムの統合や、新規システムへの移行などの場面で、アプリケーション統合ソリューションの必要性が顕在化している。

 通信・メディア業界では、緊密に連携し合った大規模レガシーシステムが乱立しており、新規の機能追加やシステム刷新が困難な状況にある。そのため、ユーザーが複数のシステムを使い分けなければならないという問題が生じている。この状況を打破する手段としてアプリケーション統合が必須であり、他業種に比べて導入が進んでいる。

 今後、アプリケーション統合ソリューションの市場拡大を促進する要因としては、コンプライアンス対応と、中堅企業への裾野拡大が挙げられる。統一されたアプリケーション統合基盤を確立することは、情報の透明性を確保するコンプライアンス対応の手段として、ますます重要視されると考えられる。さらに、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくシステム構築が市場に浸透することにより、部分最適を狙った統合のみならず、企業システムの全体最適を実現するソリューションとしてのニーズも高まるであろう。

 アプリケーション統合ソリューションにおいてSOAは、異なるアプリケーションに共通する機能をサービスとして切り出すことで、アプリケーション開発に柔軟性を持たせ、投資効率を向上させる役割を担う。さらにSOAは、アプリケーションサーバーなどの、アプリケーション統合ソリューションを構成するシステムコンポーネントと密接にかかわっている。今後SOAがアプリケーション統合に与える影響は大きいといえる。

 全体最適を実現すべく全社で整合性の取れたアプリケーション統合を行うためには、システムを運用管理するIT部門、システムを利用する業務部門、経営層の3者間におけるビジネス要件の共有が不可欠である。ユーザー企業の中には、アプリケーション統合が必要な開発案件ごとに導入方針を検討するといった、場当たり的なアプローチを採っているケースも少なくない。

 このような状況を回避するためには、早い段階でビジネスプロセスを可視化し、3者の間で課題を共有することで認識のずれを解消することが重要となる。ソリューションベンダーは、ユーザー企業における円滑なコミュニケーションを可能とする環境づくりを積極的に支援すべきである。

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