「NGN(次世代ネットワーク)は、企業がリアルタイムに情報を集め、活用するためのインフラだ」と、NECの安井潤司執行役員は企業にとってのNGNを位置づける(写真)。「ビジネスをグローバル展開する企業にとっては、各拠点の情報を集める際にネットワークがボトルネックになっている。インターネットでは品質やセキュリティが低く、IP-VPNや専用線ではコストが高い。NGNはその課題を解決する」。

写真●NECの安井潤司執行役員
写真●NECの安井潤司執行役員

 安井執行役員は、ICタグを利用して実現できる物の動きを自動的に認識する仕組みと、高品質なIPネットワークであるNGNとの相性の良さに、企業のビジネス・チャンスが潜むと強調する。「商品や部品にICタグを付けて、情報システムがリアルタイムに物の動きを把握できるようになれば、サプライチェーンをさらに効率化できるようになるはずだ」。

 NGNは、従来のIPネットワークよりもセキュリティが高い上に、QoS(サービス品質)を保証する機能も備えている。企業が物流に関する情報をリアルタイムに収集する用途にはうってつけ、というわけだ。「同じことを実現するネットワークを構築するには、莫大な費用がかかっていた」と、安井執行役員はコスト面でもメリットがあると説明する。

 ただし、NGNそのものは、国内ではこれからNTTが構築に着手する段階。グローバルにどこまで広がるかは、世界各国の通信事業者の動きにかかっている。「ユーザー企業は通信事業者の動きに注目すべきだろう。ビジネス・チャンスを逃さないためには、2~3年後を見据えて準備しておく必要があるからだ」(安井執行役員)。

 また、NECも企業に向けてNGNを活用するシステムを効率よく構築するためのサービスを具体的に提供していきたい考えである。2006年10月に40人規模のNECグループ横断検討組織を立ち上げた。「物流業や製造業はもちろん、それ以外の業種でも、NGNをどのように活用すれば業務を効率化、高度化できるかを検討している。国内でNGNを使った商用サービスが始まる予定の2008年には、具体的なサービス・メニューを提示するつもりだ」(安井執行役員)。