一般に,PerlやPythonなどの軽量言語(Lightweight Language)でプログラムを作るときは,テキスト・エディタでコードを記述することが多いでしょう。専用の開発ツールなどを使わなくても,さっと書いてさっと実行できることが軽量言語の魅力の一つです。とはいえ,ある程度規模の大きい本格的なプログラムを作りたいときは,コード入力支援やデバッガなどの機能を備えた統合開発環境(IDE)を使うほうが便利です。軽量言語プログラミングを支援するIDEはいくつかありますが,その中からPython用IDE「PyDev」を紹介します。

 PyDevは,Eclipse上でPythonプログラミングを可能にするプラグインです。言語としてはPythonのほかにJython(Java仮想マシンで動くPython処理系)にも対応します。インストールは簡単です。Eclipseが備えるソフトウエアの更新機能を使えば済みます。ただし普通にインストールすると,PyDevの設定ダイアログなどはすべて英語になります。気になる方は,Eclipseのプラグインを日本語化するプラグイン「Pleiades」を別途入手してインストールすると良いでしょう。PyDevの設定ダイアログなども日本語で表示するようになります。

 その後は,ほかの言語と同じように,コード・エディタにプログラムを書き込み,実行ボタンを押せばプログラムを実行できます。コード・エディタは,関数名や変数名を自動的に強調表示し,クラスのメソッド名などを入力し始めると候補を表示します。メソッド名やプロパティ名を入力している途中で「Alt」+「/」を押すと,まだ入力していない部分を補完してくれます。

 Pythonの構文には,「インデント」(字下げ)によってプログラムのブロック構造を表現するという特徴があります。PyDevは,このインデントを自動的に行う機能を備えています。プログラマが入力しているコードから判断して,必要なところで自動的にインデントしてくれるのです。

 プログラムを整形する機能はほかにもあります。Pythonはプログラマが思いついたところでimport宣言ができます。プログラムを書くときは便利ですが,後からコードを見返してみるとあちこちにimport文が散らばっているのはあまり美しくありません。PyDevは,このようなときにimport文をまとめる機能を持っています。コード・エディタにカーソルを置いて,「Ctrl」+「Shift」+「O」を押すと,プログラム中に散らばっているimport文がプログラムの先頭に並びます。

 プログラム作成中にエラーを検知する機能もあります。PyDevはプログラマが入力しているコードを常時監視しており,文法的に間違っているところをすぐに指摘します。また,ビジュアルなデバッガも備えており,プログラム中にブレークポイントを設定して,変数の中身をチェックするといったこともできます。

 さらに,プログラムのリファクタリング,テストのカバレッジ表示,ユニット実行といったチーム開発向けの機能も備えています。

 すでにPythonを使っている人だけでなく,これからPythonを覚えようという人,特にEclipseで開発の経験がある人にお薦めのツールです。

図1●(a)PyDevのコード補完機能。メソッドを並べて表示している。(b)コード中に文法的な誤りを見つけると,すぐに指摘する
図1●(a)PyDevのコード補完機能。メソッドを並べて表示している。(b)コード中に文法的な誤りを見つけると,すぐに指摘する


PyDev
ジャンル:統合開発環境
開発:Aleks Totic(作者),
Fabio Zadrozny(現在のメンテナ) 
URL:http://pydev.sourceforge.net/