入社3年目ですが,SEとしての将来のキャリアが描けません。同期が他業種へ転職していくのを見ると,焦りを感じます。
(ソフト開発会社勤務,SE/女性・25歳)

A: 焦るな。転機となる出会いを求め続けろ!

 「SEという仕事は全く自分に向いていない」と確信していて,誰に相談しても答えがそうならば,転職を勧めます。でも,これは簡単に出せる答えではありませんよね。

 SEとしてのキャリアを入社3年で描けないからといって悩む必要はありません。私がSEからコンサルに転職したのは,36歳の時でした。

 人生の転機には,「これだ!」と感じる人や物との出会いがあるものです。私が日本IBMに就職したのは,学生時代に雑誌でマイクロプロセサの存在を知り,「これこそ俺がやりたいことだ!」と感じたからです。

 筆者の周りにも,「これだ!」と感じて転職し,成功した人間はたくさんいます。もちろん,なかには失敗した人間もいますが,彼らはそれなりに納得しています。

 あなたはまだ,「これだ!」と思うものに出会っていないのだと思います。もし,「このまま今の会社にいても『これだ!』と思うものに絶対に出会わない」と確信しているのでしたら転職すべきでしょう。しかし,そんな先のことは誰にも分からないと思いませんか?

 同僚が転職していくからといって,焦りは禁物です。ここはじっくり構えて,ステキな出会いを待つのです。

 といっても,文字通り待っているだけではいけません。恋愛では,出会いを求めて合コンにいきますよね。職業に関しても,異業種交流会などに積極的に参加して,外部と接触しましょう。普段の生活や仕事のなかでも,常にアンテナを研ぎ澄ませておくことです。それが,チャンスをものにする最も効果的な道なのです。

 アンテナさえ張っていれば,必ず何かが引っかかります。「これだ!」と感じる出会いがやってきたら,その時は思い切って行動しましょう。

奥井 規晶(おくい のりあき)
1959年神奈川県出身。84年に早稲田大学理工学部大学院修士課程修了。日本IBMでSEとして活躍後,ボストン コンサルティング グループに入社。戦略系コンサルタントとして事業/情報戦略,システム再構築,SCMなどのプロジェクトを多数経験。その後,アーサー・D・リトル(ジャパン)のディレクターおよび関連会社のシー・クエンシャル代表取締役を経て,2001年にベリングポイント(元KPMGコンサルティング)代表取締役に就任。2004年4月に独立。現在,インターフュージョンコンサルティング代表取締役会長。経済同友会会員,日本キューバ・シガー教育協会専務理事。