ルーター開発の最前線


FTTHの急激な普及や,NGN(next generation network)のトライアル開始など,ネットワークを巡る話題はめまぐるしく変化しています。そうしたネットワークを支えているのが,ルーターやLANスイッチといったネットワーク機器です。ここでは,ルーターやLANスイッチを実際に開発しているアラクサラネットワークスのエンジニアの視点で,ネットワークに関するさまざまなテーマについてお話していきたいと思います。

●第1回:キャリアクラス・ルーターの省エネ化対策
 【1】政府や通信事業者が省エネ化へ動き出す 
 【2】構造によりルーターの消費電力に差 
 【3】キャリアクラス・ルーターの消費電力を抑制する方法 

●第2回:ICT時代のネットワーク運用の基盤「NETCONF」
 【1】運用者に優しいネットワーク運用 
 【2】課題解決のキーワードはNETCONF/XML/Java API 
 【3】「IT」と「C」がつながる効用と今後の課題 

●第3回:大容量ルーターの内部インタフェースを高速化する
 【1】きょう体サイズが高速化のボトルネック 
 【2】1本の線に双方向の信号を載せる 

●第4回:トラフィックを意のままに絞る
 【1】パケットの送信間隔で帯域を調整 
 【2】制御の“感度”に最適な解はない 

●第5回:性能を決める「ルーティング処理」の今
 【1】単純な方式では10ギガイーサのパケットを処理できない 
 【2】特別なメモリーを利用して処理速度を向上  
 【3】検索条件の多いフロー検出処理では条件の絞込みが重要 
 【4】統計情報の収集も高速化のポイントに 

●第6回:IPv6ルーター誕生前夜
 【1】製品化への第一歩:ベータ版ソフトウエアの開発 
 【2】フェーズ2:ソフトウエア転送の製品版の開発 
 【3】フェーズ3:ハードウエア転送版の製品開発 

●第7回:ルーターの装置内2重化対策
 【1】処理性能を保ったまま情報を同期させる  
 【2】二つの手法を用途・特徴に合わせて使う 
 【3】ソフトウエアのアップデート対策 

●第8回:LANスイッチの冗長化プロトコル「GSRP」の実装
 【1】VRRPを基にレイヤー2特有の機能を装備 
 【2】「同時マスター」を防ぎ処理負荷も軽減 

●第9回:LAN経路の冗長化を実現するリング・プロトコル
 【1】仕組みを独自開発し,高速処理のためにハード化 

●第10回:ルーター処理の信頼性を上げる
 【1】受信パケットによるCPUへの過負荷を防ぐ 

林 剛久(はやし たけひさ)
アラクサラネットワークスCTO
1980年に日立製作所入社。メインフレームやUNIXサーバーなどのコンピュータ関連開発に従事したのちに,1998年よりルーターおよびスイッチ開発チームの責任者となる。独自開発ASICのハードウエア転送によるハイエンド高速ルーター/スイッチ・シリーズを製品化。また,世界に先駆けてIPv6を実装し,実用化をリードする。現在,日立製作所とNECが合弁で立ち上げたルーター/スイッチ事業会社であるアラクサラネットワークスのCTOを勤める。(アラクサラネットワークスのホームページ